由美佳が女将をしている旅館のお客様の大半は50代以上で、ご夫婦でご利用されるケースが多い。
最近に目立って要望が増えているのが貸切露天風呂のご利用で、物理的に無理という問題から所有地の一部を工事して別棟を建設し、専用貸切露天風呂を4か所増やすことになった。
貸切料金を無料としている旅館もあるが、由美佳の旅館では長年の伝統として有料となっており、50分間で4500円となっていて平均的な旅館の料金としては少し高額だが、充実した設備と脱衣場に用意してある飲み物などの存在からコスパで問題はなく、お気に入りになってリピーターとして来られているカップルもあるので提供している側としても満足している。
新設を機にシャンプーやボディー・ソープなどの厳選を考えており、事務所内の女性スタッフ達に任せているが、国内の外資系ホテルや旅館だけではなく、外国の有名なホテルがどのような物を提供しているかも調査。集まった情報資料がまとめられて由美佳に報告されて来た。
世界で知られるブランドもある。揃えるだけで赤字となるような高額な物まであったが、まだ利用料金を決めていなかったので参考ということで候補のグループ資料に入れておいた。
こんなに高い洗顔液を使っている女性が国内にいるとは信じられないが、口コミという話題性を考えると宣伝費という考え方もあった。
由美佳が何より望んだのは香りのよいもので、器のデザインが洗練されているものを候補にしていた。
温泉は源泉の湧出量が潤沢なのでかけ流しとなっていたが、女性の美容は入浴された方々の健康を目的とする入浴剤も考えており、ご利用される方々の情景を思い浮かべながら日々の建設工事の進捗性を見ながら完成の日を楽しみする由美佳だった。
最近は外国人のお客様も増えているが、東京オリンピックの開催も予定されており、今後ますます来日される方々が多くなると予想されるが、日本の刺青と異なる文化となっているタトゥの問題もあり、貸切風呂の提供に余裕が生まれることでクリアされることになると考えていた。
そんな話題で仲居達と話し合っていると「そんなことも」と思うことがでて来た、それは浴衣に宇着替えて部屋食となっているから表面化しないが、これがレストランなどなたら大変で、袖から覗く刺青やタトゥを目にされたらと思うとゾッとするという仲居頭の意見にも納得をした由美佳だった・
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