外国人観光客の来日が増えているが、欧米からの人達には日本の旅館に宿泊することに興味があるみたいで、今年になってから数十人の来館があった。
英会話の可能なスタッフがフロントにいるし、館内の案内もチェックインの時に対応しており、部屋を担当する仲居から要請があれば通訳として活躍してくれている。
紀和子が女将をしている旅館には英会話が可能なスタッフが2人いる。一人がフロントを担当する男性だが、もう一人は女性で外国人の部屋を担当するようにしている。
ネットの社会も翻訳可能となっているところから旅行会社を通さずに直接予約をされて来られるケースもあるが、大半は大手旅行会社からの送客で、紀和子の旅館に英会話が可能なスタッフがいることが影響していると聞いた。
紀和子の旅館では夕食も朝食も部屋食なので問題ないが、朝食をバイキング形式にされているホテルや旅館も多く、過日の観光組合の会合で朝食バイキング時の中国のお客さんのマナーが話題になっていた。
隣に女将会で交友関係にある大規模ホテルがあるが、そこも朝食はバイキング形式で、朝食会場での出来事から日本人のお客様からクレームを受けることも少なくないので困っていると言っていた。
紀和子の旅館に6人の中国人の観光客が来られたこともあったが、1人の方が日本で仕事をされているところから日本語が堪能で、もう一人の方は英会話が可能だったので何の問題も発生しなかった。
ただ細かく言うと一つだけ日本人のお客様がチェックアウトの時に「中国人って大きな声で喋るね」と愚痴っぽいお言葉でお帰りになったが、それは大浴場で一緒になったことのようで、大浴場内では会話の声も反響で大きく聞こえる環境もあることも事実である。
仲居達の意見によるとチェックアウトをされてから片付けに行くと部屋に持ち込まれた菓子類の袋などが散乱しており、国民性の違いだろうかと話していたが、大浴場や客室に「英語」「中国語」「韓国語」での案内表記を掲示したり、観光案内の資料も外国語版も準備したのは4年前のことで、社長である夫が東京のホテルで開催された研修会で学んで帰り、
すぐに対応することにしたものであった。
夫婦で何度か外国旅行をしたことがあるが、言葉の問題が最もストレスになることは事実で、会話が出来なかったら食事をするのにも大変である。
そんなところから出発前に観光情報を入手しておくことも大切だが、最近は現地でネットを開けたら様々な情報を知ることが出来るので便利になったし、英会話に変換して会話が可能になっている便利な代物も登場しているので利用価値が高い。
現在8か国語に対応してくれるアプリもあるが、近い将来には60か国語対応も考えられているそうで、何処の国に行くのにも通訳を伴って行くようになるようだ。
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