全てのお客様のチェックアウトが済んで喜久子がティーラウンジコーナーで寛いていると、「女将さん、お客様です」とフロントのスタッフが呼びに来た。
「誰だろう?」と思いながらロビーから向かうと、旅館組合の事務長が来ていた。
「女将さん、突然ですが、緊急の資料を配達しています。事務所のFAXが故障しているみたいで送信出来ず、コピーして配達することにしたのです。
事務長はそう言って旅館組合の専用封筒を手渡すと「次の旅館に行きますから」と足早に出て行った。
封筒を開いて配布された書類に目を通すと、ホテルや旅館のHPで表記している料金案内で誤解を生じる問題が発覚し、各社が確認の上、この温泉地のイメージが悪くならないように対処して欲しいということだった。
それは「休前日料金」に関する問題で、週休二日制が当たり前になった時代から土曜日と金曜日、それに祝日前の日の料金がアップするという提示だが、中には同額というところもあるが、そんな中で誤解を与えるという問題が浮上したようであった。
ある旅館がお客様から指摘され、それまでに半年以上もそのままの解釈で対応して来ており、全てを返金するかどうかで悩んでいるという問題である。
HPの料金案内には「平日料金」と「休前日料金」の2つの金額が表示されているが、「日曜日」と「祝日」の当日をどのように判断するべきか、つまり「休前日料金」の対象になるかどうかということで、調査してみると含んでいるところもあってバラバラで、お客様が誤解される危険性が秘められている訳である。
「休日及びその前日料金」と表記したり「休・前日料金」とすれば誤解も少なくされるかもしれないが、後者でも勝手な想像をされることも否めず、休日も追加料金の対象にするならその旨をはっきりと明記するべきというのが今回の指摘提案で、旅館組合に加盟しているところは統一してこの問題に対処して欲しいと結ばれていた。
これらは旅行会社などのエージェントからも紹介なら問題は起こらないが、HPから直接電話予約される場合に誤解が生じてしまうことも考えられ、実際に疑問を体験されたお客さんから旅館組合への問い合わせがあって表面化したことだった。
喜久子の旅館で日曜日と祝日は「平日料金」扱いとなっているが、交流のあるホテルでは「平日料金」にしていないところがあるのも事実で、指摘されるように直接予約をされるお客様が誤解をしてしまうことも生じるのは確かであり、自社のHPを担当スタッフと確認しながら全ページの隅々までチェックする作業を行った。
コメントはこちらから
あなたの心に浮かんだ「ひと言」が、誰かやあなた自身を幸せに導くことがあります。
このコラム「小説 女将、HPを確認する」へのコメントを投稿してください。