プロが選ぶホテル、旅館ランキングで総合ランク1位として知られている和倉温泉の加賀屋で食中毒事件が起きたというニュースにびっくり。女将の艶子はすぐに厨房へ行き、料理長とスタッフ達にマンネリの中で絵発生するミスの怖さについて話した。
食中毒とは恐ろしい物。高齢者が体調を崩されていて免疫がダウンしている際に通常なら発生しない問題が出るケースも考えられ、プロの料理人達は牡蛎や貝類を食材にすることも多い。
俎板、包丁、食器類の衛生に神経を遣うのは当たり前だが、特に気配りしたいのは面倒でも手洗いを実行することとタオルやフキンの煮沸処理で、ちょっと横着したことから大変なことになることもある。
食中毒が発生すると保健所の調査が入り、問題があるとすぐに厨房の使用禁止期間を命じられることになり、ホテルや旅館ならお客様に料理が提供出来なくなるので最悪である。
最近は仕出し弁当でも「抗菌」ファイルを使用しているケースもあるが、それが完全に食中毒を防止してくれるものではなく、昼食の弁当など持ち出すケースでは温度の高い車内や直射日光の場所を避けて貰わなければ不可抗力的な事象につながるので大変だ。
数年前、この温泉地のホテルで十数名の食中毒事件が発生し、1人の高齢者が不幸なことに亡くなられたところから新聞やテレビのニュースで大きく採り上げられ、しばらく何処のホテルも旅館もキャンセルの電話で泣かされた出来事もあった。
起きてから後悔しても始まらない。起きないように務めるからこそプロの世界と言われるが、「あの時に」「あのことを」「ちょっと気を付けていれば」と考えても時計の針を戻すことが出来ないことを理解しておきたい。
先代社長はいつも「人生は反省する範囲内で。決して後悔することはするな」と言われていたが、現社長の夫もその言葉を大切にしているようで、スタッフ達へそう伝えていた光景を何度か目にしたことがあった。
今日の朝礼で社長がネット予約のトラブルが増えていることに触れていた。予約サイトのミスから料金やサービスの異なり、また予約条件が大きく異なっていたり予約そのものがされていなかったケースも少なくないようで、これらは単純なヒューマンエラーに起因するミスのようで、ここにも勝手な思い込みという問題が秘められているような気がする。
予約を承っていないお客様が来られても、空室があれば何とかなるが、もしもブッキングで満室になっていたら大変なことになる。温泉地内の他のホテルや旅館を紹介する場合でも、何れも満室ということも考えられる。だからこそ最悪の想定をしてお客様側の立場から見てみる姿勢が重要なのである。
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