旅館組合の会合に行った。出席対象となるのは経営者、後継者、支配人、それに女将や若女将となっている。
この日の議題が進められて全てが終わると、司会を担当していたある旅館の若旦那が過日に結婚した報告と共に、連れて来ていた若女将となった伴侶を紹介してくれた。
誰が見ても美人と言われる要望で、先輩達から冷やかされていたが、彼女が自己紹介をした中で興味深いことがあった。
それはお客様を部屋に案内した際にお茶と共に出す茶菓子のことで、上品な和菓子や地元の名物となっているお菓子などが一般的だが、高知県出身の彼女は高知県の特産品である「芋ケンピ」を取り寄せて出したらびっくりするほど好評で、「この地の産物か?」と質問をされ、高知県の特産であることを説明すると取り寄せて送って欲しいということもあり、取り寄せが可能なショップのHPをプリントアウトしてわたしていることを知った。
そんな話が終わると同時に彼女の旅館の女将が袋に入った「芋ケンピ」を器に入れてお茶と共に出してくれて味わったが、それは初めて感じた美味しいものだった。
若女将の話によると「100gで300円程度」ということだったが、消費税と送料が必要と説明していた。
一緒に出席していた夫が気に入ったみたいで、帰りの車の中で戻ったらすぐに取り寄せてみようということになった。
上品な和菓子も大切かもしれないが、お客様が歓迎されることが優先で、それでよい意味での質問につながるとなれば悪いことではない。それについて夫と女将の冴子の意見は一致し、幾つか注文してスタッフ全員で試食することにした。
冴子の旅館ではユニークな物も提供されている。それはお客様がお部屋に入られた際の熱いお茶に添えられるものだが、お一人に10個しかないが、その添え書きが面白くて次のように説明されていた。
「テレビ番組『「県民ショー』で観て興味を抱き、女将会で伊勢神宮へ参拝した帰路に道の駅で目にして持ち帰り、それから嵌っています。熱いお茶に入れてお召し上がりください」
それは三重県の人達が好んで食べられるという「田舎あられ」で、お茶に入れると塩味が何とも言えない風味を感じさせてくれるもので、チェックアウト時に「あれ、中々いいわ」と帰られる人もあって好評を博しているが、それまでの和菓子に比較すると随分とコストダウンにつながり、夫からも歓迎の声が出ている。
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