かの有名な俳優であった原節子さんのご訃報があった。その関連するニュースの中で女将の幹江は一度行ってみたい旅館が出来た。それは昭和28年に発表された小津安二郎監督作品の映画「東京物語」に出演された原節子さんが、舞台となった尾道で宿泊された旅館「竹村家」で、有形文化財に指定されている老舗旅館だが、原節子さんらしいエピソードが伝わっているからだ。
日本の典型的な美人女優としてレジェンド的存在になっているが、廊下を歩かれる時にでも浴衣の袖で顔を隠される配慮をされていたそうだし、尾道入りされる時に駅にファンが多く集まって大変な状況になっていることを列車に乗車中の関係者に伝えたのは旅館の先代ご主人の機転で、一つ手前の駅で降車して、そこから旅館までタクシーで到着という逸話もあるが、その連絡方法が電報だったというのも時代背景を物語っている。
歴史に深い興味を持っている幹江は「坂本龍馬」の人生にも傾倒しており、尾道での「いろは丸」事件の交渉の場となった場所にも訪れてみたいと思っており、羽田から広島空港へ飛び、そこから尾道へ行きたいと考えていた。
旅館「竹村家」は別館の存在もあるが、創業は明治35年の当時は洋食レストランで、その後は料理旅館として改装され、大正時代に建設された老舗旅館なので部屋数は少なく、1泊2食付きで20000円から50000円とHPに紹介されていた。
尾道は坂の町で猫につながる町としても知られており、猫好きな幹子にはそれも楽しみのひとつだったが、女将という仕事の責務から1泊という条件だけはどうにもならなかった。
もう一つ興味を覚えているものがあった。数年前に大阪へ行った時に「お好み焼き」を食べたが、その時に知った「広島風お好み焼き」をぜひ食べてみたいと思っており、こんな情報を調べてくれる事務所の女性スタッフに頼んでおいた。
航空券は早割で購入しなければ絶対に損である。当日に空席のある便に搭乗するのにどうして高額な正規料金になるのかと抵抗感を抱いている幹子だが、旅館の予約に合わせて航空便の予約もスタッフ依頼しておいた。
幹子の性格は「最悪の想定」が不可欠で、もしも予約していた航空便が何かの事情で欠航した際の新幹線利用の時刻表も調べておかなければならず、担当の女性スタッフは女将の出張や旅行ではいつも細かいスケジュールを組んで報告していた。
旅館まではJRの尾道駅から1,5キロほど東寄りだそうだが、新幹線の新尾道駅とは少し離れているので要注意。新尾道駅は「こだま」しか停車しないので東に向かうなら福山、岡山などで「さくら」や「のぞみ」に乗り換える必要がある。
春は観光客が多いので2月に行こうと思っているが、夕方に幹子に届けられた旅程が書かれたプリントには、全て予約OKとなっていた。
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