女将の香都子と社長である夫は夫婦で旅行を計画しているが、昨夜の夜食の時間に意見が食い違って揉めてしまった。
旅行と言っても研修目的で他のホテルや旅館を体験する国内旅行なのだが、夫は飛行機派、香都子は飛行機嫌いで鉄道派なのでいつも意見が対立し、時にはジャンケンで決めたこともあった。
今回の旅行は北海道を予定しているものだが、昨日のニュースで千歳空港発羽田行きの機内で乗客のスマホの充電器から発火し、火災にならないように対応した客室乗務員達が、飛び散った液体で負傷した出来事で、千歳空港へ引き返して緊急着陸した事件だった。
客席の下に置いていたバッグの中のスマホの充電バッテリーから煙が出て来たことから騒動になったそうだが、ふと思い出したのが数年前に続いた「787型機」の問題。意外なことが原因となることも恐ろしい事実である。
今回の航空会社はスカイマークだったが、スマホなんて誰もが持っている時代。機内でこんな問題が発生したら恐ろしいことから「飛行機を止めよう」と香都子が提案、夫が「仕方がないな」となって鉄道を利用することになった。
北海道へ鉄道で利用と考えると東京から函館行きの新幹線となるが、4時間少しの所要時間を覚悟しなければならず、「お酒でも飲んで寝るから」と夫は贅沢にもグランクラスの利用を条件として来た。
香都子夫婦はJRのジパング倶楽部に入会して毎年更新をしており、乗車券、特急券、グリーン券などが3割引きで利用出来るが、グランクラスは対象外で、特急券とグランクラス料金を正規で支払うことになるので抵抗感があり、グリーン車を考えていた。
客室乗務員が対応してくれ、そこそこの軽食や飲み物を提供してくれるからと夫は言うが、お酒を一切飲まない香都子は外国へ行った時の機内のことを思い出し、新幹線でのもそんなサービスがと初めて学ぶことになり「体験してみるか」という思いになっていた。
ジパング倶楽部の入会条件は女性が満60歳、男性が満65歳以上だが、夫婦の場合はどちらかが65歳であれば登録可能で、片道、往復で201キロ以上の利用時に割引適用となる。
香都子の旅館のある温泉地の最寄り駅は在来線の特急停車駅になっているが、そんなところからジパング倶楽部を利用されたご夫婦も多く、部屋に参上してご挨拶の時に教えていただいてからすぐに入会登録をしたのは3年前だった。
JR系列のホテルの割引も適用されるが、これまでに利用した中で「智頭急行線」「北越急行線」「宇和島の一部」で適用外があったが、それ以外は適用されているが「のぞみ」と「みずほ」は適用外となっている。
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