世の中には様々な趣味がある。数日前に名美が女将をしている旅館を利用していた4人の人達はそれぞれ30代、40代、50代、60代の男性で、大きなオートバイで来られていたが、夕食時に部屋に参上して交わした会話の中に「国道巡り」と聞いだのだが、それは「酷道」というマニアの世界で対象となっている想像も出来ない悪路を走行するというもので、この温泉街の前を通る県道を上がって峠を越えてから林道に入ると「酷道」と呼ばれる悪路があり、彼らが撮影して来たというデジカメの写真を見せて貰ってびっくりした。
道路の中央に草が生えているし、一部には背は低いが木があるのも確認出来る。この林道を通る車がないのでそうなったらしいが、20年ほど前間で伐採された材木を運ぶトラックがあったことを知った。
社長である夫の話によるとネット社会には「秘境駅」をテーマにしている人達の交流もあるそうで、この旅館の最寄り駅である特急停車駅を山の方へ向かうと普通列車も停車しない駅があることを知った。
そこは昔は信号所と呼ばれていたそうで、単線区間で列車が擦れ違いをするために設置されていたらしいが、普通列車がと特急列車が核1時間に1本だけ運転されるだけで、その駅では擦れ違うだけで扉も開けられずホームに降りることは出来なくなっていた。
そこに行くには道路がないので車では不可能で、列車しか行けないところから「秘境駅ファン」からJRに「駅に降ろして欲しい」という要望も届いているそうだが、その予定はないと発表している。
テレビでも秘境駅を採り上げる番組があり、1日に3本しか停車しない駅にわざわざ降りて時間を過ごし、記念写真だけ撮影して戻って来るファンのことが紹介されていたが、逸話や秘話が語り継がれていることも興味深いところだ。
飯田線に「小和田駅」という秘境駅が存在している。ここも列車でしか行けないが、1993年に皇太子殿下がご結婚された時、妃殿下の旧姓が同名だったところから訪問する人達が増え、地元の町が駅舎の前の広場で結婚式をするカップルを募集し、応募した一組を実際に行ったことも話題になり、その時に使われた備品などが駅舎の構内に残されていると紹介されていた。
旅館をご利用くださるお客様も様々。ご夫婦の結婚記念日に来られる方もあるし、人生の記念日をご家族でお祝いされる集いも何度か対応したことがある。来月の初めには幼い子供さんを含めて14人でご利用くださるご家族の予約が入っている。ご主人の還暦を記念してお祝いの宴を催すもので、三代のファミリーがご一緒されることは本当に幸せなひとときである。
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