珍しい体験は幾つかあるが、青春時代に沖縄に行った時に目にした体験はそれこそ自然の成す不思議な事象だった。
4人がタクシーで名護のパイナップル園に向かう途中で起きたことだが、運転手さんが「よくあることですがこれは珍しいですよ」と言われたのでまさに驚嘆することを目にすることが出来た。
真夏の8月の出来事。青空に積乱雲が発生している。しばらく地道を走行していると前方からやって来る車のワイパーが激しく動いている。黒い雲に近付いて行くと強い夕立が降り始めたのだが、道路の中央部分ではっきりと分かれている。俗に言われる「馬の背を分ける」という典型的な出来事だが、「お客さん達はラッキーですよ」と言われた。
地道なのでセンターラインはなかったが、半分が雨で濡れ、半分は乾いたままという信じられない光景で、次のカーブの所まで続いていた。
ゴルフを始めてからしばらくした頃、九州の友人夫妻に招待されて沖縄に行ったことがあったが、那覇空港から乗車したタクシーの運転手さんに貴重な体験をさせて貰った。
ホテルで待ち合わせている時間に1時間ほど余裕があるのでどこかに立ち寄るところは?と尋ねたら、「お客さん、ビールはお好きですか?」と聞かれ、小瓶一本ぐらいならというと「ちょっと入れない施設へご案内します」と10分ぐらい走った所にあった建物に入った。
20台ぐらいの駐車場スペースの入り口に軍服姿の外人が立っており、我々の方に向かって敬礼をしている。車を停めて運転手さんの後ろに続いて建物の中に入ったら、すぐに受付みたいなカウンターがあり、軍服姿の外国人女性が担当している。運転手さんは落ち着いた様子でカウンターの上に置かれたノートにサインをされている。
それが済むと社交場的雰囲気の空間に案内され、運転手さんがオーダーしてくれたビールとグラスが運ばれて来た。
「ここは?」と尋ねると、「自衛隊員でも昔の地位で言うと大尉以上しか入れません。ここはアメリカ軍の厚生施設で、私はフリーパスの特権を持っているのです」と教えてくれたが、そこに至る経緯を教えて貰って驚くことになった。
「この特権パスは、沖縄で4人しか持っていないものです。4人はベトナム戦争でアメリカ軍に協力していたからです」
我々がゴルフに行くことを知ると、「嘉手納基地内にあるゴルフ場も行けますよ。何なら予約しましょうか。ガラガラに空いていますよ」と言われ、何か夢物語みたいで遠慮させていただいたが、今思えば甘えて体験しておくべきだったと後悔している。
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