全ての準備が整った。忘れては行けない物、現地で連絡する電話番号、医院で書いて貰った英文表記の処方箋や薬の説明。封を切らずに持参する市販薬などを前日にチェック、もうこれで忘れ物はないと確認していたら、肝心のパスポートと「Eチケット」のプリントを大事に引き出しの中へ収めたままだったことに気付いて情けなかったが、他にそんなことがないかと2人で質問を交わしながら確認した。
そして当日、最寄り駅まで支配人に送って貰い、在来線の特急列車を利用して大阪駅に行き、そこからタクシーで伊丹空港に行った。
利用する日本航空のカウンターに書類を出して荷物を預けると、この荷物を受け取るのは現地に入国した空港となるので便利だが、提示した「Eチケット」を確認して搭乗券とラウンジの利用券を発行して貰った。
伊丹空港の日本航空のラウンジは2階と3階にあるが、2階から入って受付窓口に利用券を渡して中へ入った。
成田空港まで利用するのは日本航空3006便で、14時40分発となっており、約1時間の余裕があり、ジュースを飲みながら雑誌を読んで時間を過ごした。
出発の20分前になった。そろそろ搭乗口に行こうかと歩き始めて搭乗口に行ったら、しばらくすると夫の名前をアナウンスしているのでびっくり。搭乗口のカウンターに2人で行くと、「杖を手にされておられますが、成田空港で大丈夫でしょうか?駐機場では階段で降機していただかなければなりませんし、ターミナルへのバスの乗車口の階段も心配ですし、ターミナルビルに到着されてからの階段も大変ですから」と言われたが、夫は「手摺りさえあれば大丈夫ですからご安心を」と返し、「それでは車椅子の準備は必要ございませんね」とのやりとりがあった。
どうやら1階のチェックインのカウンターのスタッフが杖を手にする夫の姿を見て心配して搭乗口のスタッフに連絡したものだろうが、自分で動けるから外国に出掛けるものであり、車椅子など誰かの介添えを必要とするなら絶対に行かないのが夫の性格だった。
3006便は「ボーイング737-800型機」を使用しており、2人は前方のJシートの席になっていた。「2+3」だが、Jシート以外は「3+3」になっていたので少しだけ広くなっていた。
離陸して水平飛行になるとCAに飲み物サービスが始まったが、「リンゴジュース」を頼んで空の旅をリラックスしていた。
好天に恵まれていたこともあって揺れもなく、左手に富士山が見えたと思ったら伊豆半島の上空を飛んでおり、しばらくすると東京湾が見えて房総半島の上空になると着陸態勢になり、無事に成田空港に到着した。
手荷物を降ろして降機しようと出口に行くと、タラップが接続されていてちょっと階段が急なので心配だったが、夫はしっかりと手摺りをグリップして着地。続いて大きなバスの車内へ乗り込んだ。
機内では前方の席だったこともあり、バスに乗車した時は誰もおらず、何処でも座れる状態だったので助かったが、夫が選んだ席は天井から床にパイプがあるのを手にすることが出来る場所で、その隣に嘉代子が座った。
バスは空港内を5分ほど走行してターミナルビルに到着した。日本航空から貰った空港内の案内からするとそのまま国際線の方へ移動する経路もあったが、夫が日本航空のグループ会社に「Wi-Fi」のレンタルを申し込んでいたこともあり、一度国内線側に出なければならなかった。 続く
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