熊本の大地震発生からもう10日目だが、まだ余震が続いているので避難されている方々も極限を超えていると想像する。
支援のための募金箱をすぐにフロントに設置し、旅館をご利用くださったお客様にご協力いただいているが、取り敢えず1週間分を金曜日に行政の観光課に届けることにして女将の光恵と支配人の2人で行って来た。
観光課の担当窓口で今回の被災者に対する支援の方法を教えて貰ったが、その中に初めて知ったことがあり、戻ってから夫と相談してそれを実行することにした。
それはANAと日本航空のマイレージを支援に回すことが出来るもので、夫と光江のマイレージに残っていた全てを支援に回すことにしたのだが、残しておいても利用する予定もなく、規定の期間が過ぎたら消えてしまうこともあるのだから有効な使い方のような気がして、事務所のスタッフにそんな啓蒙が出来るようにロビー、エレベーター内、大浴場の脱衣場に貼れるようにポスターの制作を頼んだ。
やがて完成したものが光恵に見せられたが、「ANA」と「JAL」という文字が誰にも伝わるもので、「マイレージでも募金が可能です」という表記に「知らなかった!」というお客様の声も聞くようになり、そんな協力をされた方もおられるようで喜んでいる。
専用の電話番号を押してつながれば電話料金が募金になる「ドラえもん募金」というのがあることも教えて貰ったが、避難されている方々の現状を伝えるニュース映像を目にするとあまりにも厳しい環境で、何かが出来ないかと自身の焦燥感を救えるような行動が光恵を押していたようだった。
幼い子供達の心身が恐怖に震え、お母さんから少しも離れない状態になっていることも紹介されていたが、他府県の医師や看護師さん達の救援活動の様子を見て少し安堵したが、ボランティアの皆さんが様々な支援活動をされる中、また雨の天候になるという残酷な自然の仕打ちに<どうして!>と訴えたい心境になった。
GWのキャンセルが九州各地の観光地でびっくりするほど出ているが、温泉どころか水道。電気、ガスというライフラインが停止したままという宿泊施設も少なくなく、そこで勤務しているスタッフ地震や家族の人が被災したケースもあり、想像以上に深刻な現実を迎えていることもあり、何とかならないのかと行政に強く伝えたい思いに駆られた光恵だった。
お部屋に参上してお客様とお話をすると地震の話題が多く、「いつ災難に遭遇するか分からないね」という言葉が多かったが、被災された方々の実態を理解されてこうして旅行に来ることが幸運だったと仰り、募金に協力くださった方もあり、世の中に「情」という流れがあることを感じて嬉しい思いも抱いた。
何とか願いたいのは余震が治まってくれることだが、避難されている方々が自宅に戻れないケースがかなり多いようで、早急に仮設住宅の建設に取り組まなければと思ってしまうが、昨日のニュースを観てちょっとおかしいのでは?と思ったのが二つあった。一つは舛添東京都知事のアメリカ出張で、スイートの部屋で熊本の地震に関する会議を何度もしていたと弁明されていたそうだが、前回のヨーロッパ出張の驚くべき高額な出張費を都民に指摘されたにも関わらず、感覚が変わっていないことは不思議なことである。
もう一つは木造建築に戻そうと言う名古屋市長の提案で、名古屋市民の入場料は50円アップの値上げにして一般は現在の2倍にして1000円にするというものだが、悲惨な状態になってしまった熊本城の問題もあり、求められる特別な技術者がか被さるところから少し先延ばしをするべきという意見も出ており、ここにも県民、市民の感情問題が簡単ではないような気がする、
安倍総理が今日、視察のために熊本入りをされたが、選挙のためにパフォーマンスという指摘もあってびっくりしたが、そう思われるのがこの人物の負の部分だろう。
国民に納得させずに物事を決めてしまい、「私の行動は間違っていない」と突っ走る姿勢は批判が多いし、国家のトップとして最も重要なプロデューサー的に行う大臣のキャスティングの拙さは誰もが知るところだが、光江は避難所の光景をニュース映像で目にすると、そんな怒りを覚えていた。
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