前々号で書いたゴルフのことだが、その第2弾として触れておこう。バブル時代の会員権相場とは想像を絶する世界だった。
300万円で入会したものが4000万円で取引されたり、600万円の預託金証書が8000万円以上で売買されていたのでまさに狂乱という時代だったが、スポーツ新聞のゴルフ記事のページには会員権業者の広告が多く掲載され、矢印の上下表記もありそれらが高騰を煽っていたようだった。
今、NHKの会長が話題になっているが、前任の会社の時代に「小金井カントリー」を購入させるように命じ、1億円を要したが、退職後に譲渡したら5000万円の損金が出たらしく、その後にご本人は個人で入会していたと報じられていた。
小金井はバブル期に4億円という相場で話題を呼んでいたが、1億を超すゴルフ場が関東圏や関西圏に少なくなかった事実もある。
ゴルフ場はメンバー同伴でないとラウンド出来ないところもあったし、紹介だけで行けるところもあった。
プレイ料金は、日曜日なら高額なところではビジターで4万円弱だったので今では信じられない話だが、メンバーなら1万円以内だったのでお得感があったし、倶楽部の主催する公式競技はメンバーしか参加出来ないし、公式ハンデキャップを取得するには自分のホーム―コースが必要でもあった。
そんな高額な世界だったのに、エントリーには大変な苦労が。人気のあるコースでは予約規定の日にキャンセル待ちになる状態で、メンバー数の多いゴルフ場は土、日の予約は絶対に無理と言われていた。
京阪間に河川敷をゴルフコースにしているところがあったが、コンペを予約するためにアルバイトを雇って並ばせたという出来事も起きていた。
また、滋賀県にある人気のパブリックゴルフ場は、半年前の予約日に、瞬時にキャンセル待ちになったという事実もあった。
当時に実際に起きた出来事で驚くことがあった。友人がホームコースへ予約を入れたら「キャンセル待ち17番目です」と言われて「駄目だった」と残念がっていたら、横にいた人物が「ビジター4人ですが」と電話を入れたら「どうぞ」となったので立腹して抗議する事件に発展していた。
そのコースは日曜日ならメンバーで8000円程度だが、ビジターなら32000円ぐらいだったので歓迎したのだろうと想像する。
東京の知人に招待されて茨城県の名門コースに行くことになった時のこと。宿泊は六本木のホテルを指定され、そのすぐ近くのお寺さんが車で迎えに来てくださると言うことで恐縮。首都高速から常磐道を走行してコースに着いた。
宅配で送っていたゴルフバッグを確認してホッとしながら2階のレストランに行くと、招待くださったメンバーの方が先に来られていた。モーニングコーヒーをご一緒していたが一向にスタートされる雰囲気がなく、「スタート時間は?」と尋ねたら「ここはスタート時間は決まっていません。好きな時にスタート出来ますよ」と言われてびっくりした。
そして、次に尋ねたことから恥ずかしい思いをすることになった。そのゴルフ場は東コースと西コースで36ホールあり、東コースをラウンドすることを聞いていたが、「アウトからですか、インからですか?」と伺ったら、「ゴルフはアウトからと決まっていますよ」と仰ったからだ。
驚きはそれだけではなかった。いよいよスタートというところでまた恥ずかしい思いをすることに。アウトコースの1番ホールに行くとすでにキャディさんがカートを押されて待っていたのだが、彼女から「何処からですか?」と聞かれたので「大阪からです」と返したら、メンバーさんが「フルバックから行きます」と言われた。
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