成田空港の中は広かった。随分と長い廊下を通ってエスカレータを利用して目星を付けていた場所に行ったらうまく目的のカウンターの所へ到着。出された関係書類に必要事項を書き込み、クレジットカードで支払いを済ませたが、「Wi-Fi」の機材を受け取った時に窓口担当の女性が「4時間連続で」と言った言葉が気になったが、連続して4時間以上は利用出来ないと思っていたら、接続時間の合計が4時間だったということを現地で知ることになったのだから夫がびっくりすることになった。
国際線のターミナルに移り、保安検査を受けて出国手続きのゲートを通過したが、それは如何にも外国へ出掛ける関門のような気がした嘉代子だった。
伊丹空港で受け取った搭乗券には成田空港内にある日本航空の「さくらラウンジ」の利用が可能という案内もあり、約3時間を過ごせる余裕があるのでラウンジ内で過ごすことにした。
前以って予約をしておけばマッサージも可能だったが、そこまで手配をする気持ちはなかったと夫が言っていた。
夫の話によると、外国の航空会社でその国の空港へ到着すると、ビジネスクラスなら30分、ファーストクラスなら1時間のマッサージタイムが設定されていることもあるし、機内で入国手続きが出来る国もあると教えてくれた。
夫は旅行会社との交流も長く、学生時代の友人が旅行会社や航空会社に勤務していることもあり、そんな情報に長けており、今回の往復もファーストクラスの設定があれば利用させてやりたかったけど、ないのでビジネスクラスにしたと説明してくれた。
オーストラリアを結ぶ日本航空には、今の便にはファーストクラスの設定があるし、ANAもシドニーへ飛ばすようになっているが。当時はANAもなく、日本航空もエコノミークラス、プレミアムエコノミークラス、ビジネスクラスの3クラス設定になっていた。
ラウンジは中にエレベーターがあり、上階に行くと食事を自由に出来るブッフェの空間があるので軽く夕食を食べたが、「機内食があるからあまり食べ過ぎないように」とアドバイスをされた。
窓の外の景色が暗くなって1時間ほどしたら電光掲示板にシドニー便が間もなく搭乗案内という表示が出た。利用する飛行機は「777-200型機」で、機内のビジネスクラスは前方の第一キャビンとギャレーを挟んで第2キャビンと2か所に分かれているが、2人の席は第2キャビンの一番前になっていると聞いていた。因みに現在では「777-300型機」が就航して4クラス設定となっている。
日本航空771便は数日前に何かの事情で随分と遅延していた。その影響が及んだら出発が遅れることになり、シドニーから乗り継ぐカンタス航空575便に間に合わなくなる。そんなことになったらパースへの到着が遅れることになって様々な問題が生じるのでそうならないよう定刻で出発出来ることを願っていた。
ラウンジを出て搭乗口まで随分と距離があった。搭乗口のナンバーを見ながら歩いて行ったがラウンジから10分ほど要することになった。
搭乗口へはエレベーターか階段で階下へ降りなければならない。そこには多くの搭乗客達が存在している。これだけの人数が乗れるの?と思った嘉代子だったが、伊丹から成田までの飛行機とは随分と大きさが異なる機種だった。
マイレージの取得で上級会員になっている人や障害者、妊婦、子供連れの乗客から案内されたが、「ビジネスクラスのお客様」というアナウンスが流れても夫は一向に急ごうともせず、ゆっくりと搭乗すればよいと落ち着いていた。 続く
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