過去に書いた恥ずかしい忘れ物について再掲を。なぜならその時に利用した旅館が廃業してしまったことを知ったからである。
もう随分昔の話だが、東京駅から夕方に帰阪する際に疲れを感じ、妻と熱海に立ち寄って行くことにした。
2月の寒い時期だったし、少し持病の腰痛の兆候もあったところから温泉で温めようという思いもあった。
「こだま」を利用して熱海駅で下車、ホームから階段を降りている時にどうしてこんなに寒いのだと思った時、列車の網棚にコートとマフラーを置いたまま下車してしまったことに気付いたが、もう列車は発車してしまった後。仕方なく関東に在住している娘に電話を入れて対応を頼み、乗車していた号車と席の番号を伝えた。
予約していた旅館へ行こうと駅前からタクシーに乗り、旅館名を伝えたら「分かりました」と走り始めたが、山側だったと記憶していたのに海側に方へ向かう。「お待たせしました」と到着した旅館の雰囲気がどうも違っている。フロントの人に予約の確認をしたら「承っておりません」とのこと。数分のやり取りで「玉の井」と「玉の湯」の間違いであることが判明。タクシーの運転手さんが勘違いをしていたのである。
何度か熱海は来たことがあり、海側から山側へ行く道も知っており、とにかく歩こうということになって外に出たが、コートを着ていないので寒さが厳しい。しばらくするとタクシーが通り掛かったので助かったが、運転手さんに事情を伝えると「よく起きていることで、熱海の運転手なら再確認するのが当たり前です。明日にタクシー組合に伝えておきます」となって「玉の井」旅館まで送って貰った。
「玉の井」は老舗で歴史ある高級旅館として知られており、それまでに何度か利用したお気に入りの旅館でもあった。
そんな旅館が数年前に廃業されてしまい寂しい思い。自分の人生の思い出の1ページが消えてしまったようにも思え、どんな業種でもそれまでのお客さんの存在があったことを忘れないで欲しいものである。
葬儀業界向けの講演で「我々の仕事は担当させていただいたお家の歴史の1ページに大きく関わっている事実を忘れないようにし、『お爺ちゃんの葬儀をしてくれた葬儀社が廃業した』なんて言われないようにしなければならない」と話したことを憶えている。
飲食店でも店主が変わると味に変化があることも多く、経営の姿勢から「量」「料」「質」の変更が行われることも少なくない。大阪のミナミで「しゃぶしゃぶ」で知られた料理店も、経営者が変わったことで提供される肉の質が落ち、多くの常連客からブーイングが発生し、料理人や仲居さん達が耐え切れなくなって経営者に元に戻すことを伝え、やっと従来の内容になったが、仕入先もこの変更に対して強い抵抗感を抱いていたみたいで、その店もやがて閉店してしまうことになった。
どんな時代でも本物を求める人達が存在するもので、プロとしての誇りをなくした時点で凋落の道が始まるのが世の習い。そんなケースをいっぱい見て来たことがあるのでプロであることに磨きを忘れず、お客様からの指摘が何より恥ずかしいことだと考えたいものだ。
列車内の忘れ物だが、次の日に名古屋駅の忘れ物窓口に立ち寄って来たことを書いておこう。
今日の写真は何度か利用したことのある熱海「花の館 染井」のお風呂。内湯の外に露天風呂が見えている。
もう随分昔の話だが、東京駅から夕方に帰阪する際に疲れを感じ、妻と熱海に立ち寄って行くことにした。
2月の寒い時期だったし、少し持病の腰痛の兆候もあったところから温泉で温めようという思いもあった。
「こだま」を利用して熱海駅で下車、ホームから階段を降りている時にどうしてこんなに寒いのだと思った時、列車の網棚にコートとマフラーを置いたまま下車してしまったことに気付いたが、もう列車は発車してしまった後。仕方なく関東に在住している娘に電話を入れて対応を頼み、乗車していた号車と席の番号を伝えた。
予約していた旅館へ行こうと駅前からタクシーに乗り、旅館名を伝えたら「分かりました」と走り始めたが、山側だったと記憶していたのに海側に方へ向かう。「お待たせしました」と到着した旅館の雰囲気がどうも違っている。フロントの人に予約の確認をしたら「承っておりません」とのこと。数分のやり取りで「玉の井」と「玉の湯」の間違いであることが判明。タクシーの運転手さんが勘違いをしていたのである。
何度か熱海は来たことがあり、海側から山側へ行く道も知っており、とにかく歩こうということになって外に出たが、コートを着ていないので寒さが厳しい。しばらくするとタクシーが通り掛かったので助かったが、運転手さんに事情を伝えると「よく起きていることで、熱海の運転手なら再確認するのが当たり前です。明日にタクシー組合に伝えておきます」となって「玉の井」旅館まで送って貰った。
「玉の井」は老舗で歴史ある高級旅館として知られており、それまでに何度か利用したお気に入りの旅館でもあった。
そんな旅館が数年前に廃業されてしまい寂しい思い。自分の人生の思い出の1ページが消えてしまったようにも思え、どんな業種でもそれまでのお客さんの存在があったことを忘れないで欲しいものである。
葬儀業界向けの講演で「我々の仕事は担当させていただいたお家の歴史の1ページに大きく関わっている事実を忘れないようにし、『お爺ちゃんの葬儀をしてくれた葬儀社が廃業した』なんて言われないようにしなければならない」と話したことを憶えている。
飲食店でも店主が変わると味に変化があることも多く、経営の姿勢から「量」「料」「質」の変更が行われることも少なくない。大阪のミナミで「しゃぶしゃぶ」で知られた料理店も、経営者が変わったことで提供される肉の質が落ち、多くの常連客からブーイングが発生し、料理人や仲居さん達が耐え切れなくなって経営者に元に戻すことを伝え、やっと従来の内容になったが、仕入先もこの変更に対して強い抵抗感を抱いていたみたいで、その店もやがて閉店してしまうことになった。
どんな時代でも本物を求める人達が存在するもので、プロとしての誇りをなくした時点で凋落の道が始まるのが世の習い。そんなケースをいっぱい見て来たことがあるのでプロであることに磨きを忘れず、お客様からの指摘が何より恥ずかしいことだと考えたいものだ。
列車内の忘れ物だが、次の日に名古屋駅の忘れ物窓口に立ち寄って来たことを書いておこう。
今日の写真は何度か利用したことのある熱海「花の館 染井」のお風呂。内湯の外に露天風呂が見えている。
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