そんな中に困った利用客がいる。夫婦で利用する時に奥さんの要望で禁煙ルームに予約しておき、ご主人が灰皿持参で喫煙するからで、その後にその部屋を利用されたお客さんから「禁煙ルームと指定したのにタバコの香りがする」とクレームが出ることになってしまう。
昔は在来線の特急列車や新幹線にも各席に灰皿が設置され、禁煙車両なんて存在しなかった。飛行機の中でも離陸してしばらくすると「禁煙ボタン」が消えてタバコを吸う人いたし、禁煙となっていた映画館の中でも映写室からスクリーンへのライトにタバコの煙が漂う光景が普通だった時代もあった。
やがて禁煙車両が登場して席巻してしまったし、駅のホームも端の方へ追いやられた喫煙コーナーも全面撤去となり、空港では「隔離状態」となっている光景を目にすることになった。
タバコとは間違いなく空気を汚すものである。車の中を掃除したらはっきりと分かるが、喫煙者の車とそうでない車ではまるで別世界のように異なるし、車の灰皿に付着した独特の香りは芳香剤で消せるものではないレベルである。
新幹線のグリーン車は８号車と９号車が禁煙車で、１０号車は喫煙が許されていた時代があったが、車内の壁や天井の色を目にすればその環境の違いがはっきりしていたし、車内香りは全く異なっていた。
禁煙車両を指定して喫煙時だけ１０号車へ行く人達もいたが、ある著名な女性のアイドルタレントが１０号車に乗っていたのを目にして驚いたことがあった。彼女は今でもかわいいキャラが受けている。そのイメージからは絶対に喫煙していた姿は信じられないものだ。
喫茶店やレストランでも「禁煙席ですか？喫煙されますか？」と聞かれることが増えたが、ゾーンを分けただけでは解決不可能で、難しい経営者がやっている寿司店では絶対に禁煙だし、女性の香水も禁止しているケースもある。
結びに肺の手術を受けた友人のことに触れておこう。緊急を要する状態に陥り病院へ行った際、担当医師からの問診で「喫煙の有無」を聞かれ、１２年前に禁煙しましたと答えたら、「止められてよかったですね。続けていたら随分前に亡くなられていたでしょう」と言われて衝撃を受けたそうだ。
その数年後、彼は再発をして２度目の手術を受けたが、病室の白い天井を見ながら喫煙していた人生を後悔したと語っていた。
今日の写真は博多から佐賀、長崎を結ぶ「特急 みどり」の車内を。もちろん禁煙である。
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