岐阜県の知られる温泉地で瀟洒な和風旅館の女将をしている菊子は、先月の下旬に発生した鳥取県の地震のことが気になっていた。5年ほど前の女将会の研修旅行で鳥取県の三朝温泉、皆生温泉、湯村温泉に出掛けたことがあり、その後に交流が始まった女将も多く、それぞれの宿泊施設の被害が心配なのである。
今年は熊本県も大きな地震で衝撃を受けたが、また鳥取で大きな地震が起きるとは想像もしなかったことで、今でも続く余震が収まることを願っている。
今回の地震の影響で1100件を超えるキャンセルが出ているという報道にショックを受けたが、自然災害の影響ではどうにもならない自分達の仕事のことを考えさせられた。
外国人観光客が2000万人を超えたというニュースがあったが、4年後の東京オリンピックのこともあり、ますます来日される人達が増えると予想するが、大きな自然災害が発生しないことを願って手を合わせる菊子だった。
過日に交友のある鳥取の女将から宅配便が届いた。中には「20世紀梨」が入っていて、皆で美味しくいただきながら地震の恐ろしさが話題になっていた。
そこで梨に詳しいスタッフが梨の産地について教えてくれた。わが国での第1位は千葉県で、茨城県、栃木県の順になっているそうだが、その産地によって微妙に異なる味がするということだった。
彼の故郷は熊本県荒尾市で。地震で帰郷した時に皆でお見舞いを渡したが、そのお礼にと送ってくれたのが「荒尾梨」で、その大きさは誰もが驚くものだった。
昨日はハロウインでフロントスタッフの一人がウサギの着ぐるみを着想して対応していたし、料理長が大きなカボチャをくり抜いて中に電球を入れて大浴場につながる廊下に吊り下げていたが、子供のお客さんがおらなかったので菊子もいっぱい用意していたお菓子も余ってしまったのでスタッフ達やお客様に配った。
年々激しくなるイベントとなっているが、我が国の有様は異常としてする声もあり、渋谷のスクランブル交差点や大阪の道頓堀のニュース映像に驚く人も少なくない。
「流行は業者が作る」という言葉があるが、このハロウインをこれまでのイベントに仕掛けたのは誰だろうかと興味を抱くが、アメリカで変装して訪問した日本人学生が不審者と勘違いされて射殺された悲しい出来事が過去に起きたことも忘れられず、同じような問題が二度と発生しないことを願っている。
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