女将という仕事の中で社会の変化に敏感ということも重要で、旅行に関する情報の把握は欠かせない問題でもあった。
お客様から聞かれることもあり、それらに的確に答えることも大切なサービスで、来られる移動手段だけを対象として考えている時代ではないことを認識している昨今である。
女将の琴江は最寄り駅に行った時には必ずJRや旅行会社が置いている旅行パンフを持ち帰って来るし、毎月発行されているJRとJTBの両方の時刻表も購読している一方で、様々な旅行会社の会員に登録し、送付されて来る旅行誌の内容にも目を通している。
また、高齢者が多く入会している「ジパング倶楽部」のことも勉強したが、年齢のことから入会出来なかった会員制度が、新しく「おとなび」という50歳以上なら入会可能なシステムが出来たのですぐに登録した。
送られて来る「おとなび」の情報誌を見るとびっくりすることがいっぱいある。「ジパング倶楽部」なら年間で20回までと制限されている回数の限度がないし、割引率も同じ3割引きと言うのは信じられなかったが、「おとなびWEB早得」なら「のぞみ」や在来線特急列車が4割引きだし、「こだま」なら6割引きなのでもう衝撃的レベルである。
これを利用して新大阪と博多に乗れば、「のぞみ」「と「みずほ」が9180円で6130円も安くなるし、「こだま」なら5990円で9010円も安くなる。
「ジパング倶楽部」の場合は「のぞみ」と「みずほ」が利用不可となっているので「さくら」「ひかり」「こだま」と限定されるが、「おとなび」ならその制限がないので随分と異なる。
旅行会社の人の話によるとJRが航空会社に対抗するために企画したそうだが、こんな事実を知ったら正規料金で利用するのが馬鹿らしくなる。
「おとなび」の会員登録には「ジパング倶楽部」の会員証番号やネット環境が必要となるが、こんな信じられない割引をしてくれるなら歓迎である。
琴江が毎日訪問している「独り言」というコラムがある。これは大阪の葬儀社の会長が随分昔から更新を続けているものだが、そこに「なるほど!」と気付くことになった記述があったことが印象に残っている。
それは、友人や親戚の不幸の発生でお通夜や葬儀に参列するのに、空席のある飛行機に搭乗するのに正規料金を支払わなければならない問題だった。空いている席があるなら「弔問割引」「や「会葬割引」を設定し、会葬礼状と担当葬儀社の証明があれば割引きする企画を提案するべきと訴えていたものだが、琴江も同感を覚えた問題だった。
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