前号で「MRI」検査のことに触れたが、過去に一過性脳梗塞と隠れ脳梗塞を発見することになって感謝されている2人の友人がいることを再掲しておこう。
50代半ばの頃だった。若い時代から高血圧症状の事実があり、2週間に1回お世話になっていた医院の先生から「新しい検査機が入ったらから試してみよう」と別室に連れて行かれたら、それは血管年齢を計測するものだった。
寝台の上になって両方の手首と足首に血圧計みたいな物を巻き付け、心臓部分に心電図を計測する時に貼り付ける同じ物をセット。これで心臓から押し出される血液が何秒で達して何秒で戻るかを計測するシステムであった。
「2回行いますから深呼吸をしてリラックスしてください」と言われてしばらくすると始まったが、2分も経たない内に終了。シャツのボタンを掛け終わったら診察室に入るように言われ、そこには計測したデーターが既にデスクトップ型の画面にグラフ状態で示されていた。
「これはあまり信憑性という観点からすると問題があり、まだ大きな誤差が出ることもありますのであくまでも参考ということで調べてみたものとご理解ください」
そこから先生に結果について教えられることになったが、グラフによると私の血管年齢は80歳を超えており、動脈硬化が進んでいることから高血圧になっていることが考えられると指摘された。
血管が固くなって弾力性が失われていると血液の流れが速くなるということで、このシステムのプロセスについても解説いただいた。
2週間毎の診察時に寝台に仰向けになり、両足を曲げて腹部を触診されていたことも憶えているが、それは60歳を迎えた頃に腹部動脈瘤という事実が判明して1年後に大手術を受けることになった。
その手術の前日、執刀医や麻酔科医の説明を受けて手術を了解する書類にサインをしたが、その時に最悪の想定が衝撃的に恐ろしいものだった。
「腹部を開いて血管を約30センチ切取って人工血管に入れ替えます。人工血管は永久的なもので何の問題もありませんが、血管の両方の血液の流れを止めることが問題で、イメージしていただければご理解されるでしょうが、丸い血管を器具を使って抑えるのですが、手術を終えて流す時に問題があるのです。
これは血管内に付着しているコレステロールなどが剥がれ落ち、血管内に流れ出すというもので、心臓付近の細い血管が詰まれば心筋梗塞になるし、頭の中で生じれば脳梗塞になるというものだった。
そんな事実からやがて脳梗塞に至った訳だが、そんな体験が2人の友人の寿命に大きく影響を及ぼすことになったのである。
一人は私が「MRI検査」を初めて受けことを話したら、「年齢的に受けてみる必要があるな」と言い、数日後に私が通っていた医院へ行き「頭痛が酷い」と訴えて「MRI検査」を受ける紹介状を貰って行動した。
そして医院に届いたフィルムに想像もしなかった問題が発覚。3箇所で軽い梗塞があり「隠れ脳梗塞」と判明、その日から血液の固まらない効果のある薬を服用して現在に至っている。
もう1人は建築業を営んでいる人物で、玄関の扉の修理を依頼して作業中の会話からだった。ちょうどリハビリ入院から退院した後で、彼には階段の手摺りや風呂場の手摺りの工事を進めて貰ったこともあり、お礼を伝えようと玄関に出て行った際のやりとりだった。
「お互い若くないから気を付けなければいけないなあ。最近の体調はどうだ?」と私が言ったら、彼が自分の身体におきつつある兆候を並べて答えてくれたのだが、それはぴったり脳梗塞の前兆の可能性が高い。そこで「すぐに病院で検査を受けるべき」とアドバイスをしたが、彼はそんなに深刻なこととは理解せず、その日の仕事を終えると少しビールを飲んで就寝したのだが、しばらくすると天井を見ている光景に異変を感じ、私の言葉を思いだし、自分で救急車を依頼して病院へ行ったら、「脳梗塞」と判明した。
彼の場合、発症から短時間で点滴を受けられたので血栓を溶かすことが出来たので後遺症もなかったが、それから2人は私のことを「命の恩人だ」と言ってくれている。
今日の写真はリハビリで入院していた病院の光景。
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