古刹巡りの団参に来ている。宿泊しているホテルの会食で箸袋を見たら、裏面に「金子みすゞ」さんの有名な「大漁」の詩が紹介されていた。
『朝焼け小焼けだ 大漁だ 大羽鰮の大漁だ 浜は祭りのようだけど 海の中では何万の鰮のとむらいするだろう』
動物園や水族館でイルカの問題が話題になっているが、先月は太地の鯨博物館の隣のホテルに宿泊し、今日は300年前から鯨の供養をしているお寺に参拝した。
山口県長門の仙崎から橋を渡った青海島にある「西圓寺」の本堂でご一緒にお念仏を唱え、ご住職から拝聴したお寺の歴史に感銘を受けた。
鯨に戒名を授け、立派な位牌やお墓まで建立した遠い昔の出来事を詳しく解説くださったが、日本人として知っておかなければならない大切なことだと認識した。
そんな史実を学んだ後で向岸寺へ参拝。そこで鯨の戒名が記録されている過去帳を見せてくださった。
一連の国際的な問題から両寺院に訪れる外国のマスメディアも多いそうだが、「命をいただいていることに手を合わせる」考え方が理解されないみたいで、自然界に存在する動物と家畜を食することは違うという考え方が出て来るようだ。
「青海島」は名の通り青い美しい海の島で、海岸に沿ってバスが走行していたが、その水の透明な美しさが印象に残った。
大河ドラマでも山口県が話題になっているようだが、江戸時代から幕末、明治のお寺の歴史はそれこそ「クローズアップ現代」や「ヒストリー」で特集するべき価値ある内容で、今回も有意義な体験となった。
仙崎港の横を走る道は「みすゞ通り」という名称となっていたが、その海にびっくりするものが突き出ていた。運転手さんの話によると約30キロ長いベルトコンベアとなって、セメントの原料となる砕石を直接船へ積み込むシステムだそうだが、住友セメントという文字が目に留まった。
運転手さんが地元ならではの裏話を教えてくれた。国道のガードレールは白いが、県道のガードレールはオレンジ色で、それは「夏みかん」をイメージしたもので、過日の号で写真を掲載したように、海岸に漂着した柑橘系の種を植えたら夏みかんが出来たところから発祥の地となったことに因んでいるようだ。
今日の写真は向岸寺に表記されていた「金子みすゞ」さんのえにし。
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