熊本や大分県での余震が続いている。かなりの降雨があって土砂崩れの危険性があるから避難勧告されていた。
そんなニュース映像を観ながら思い出したのは、徹子が女将をしている旅館がある温泉地全体で避難した出来事だった。
近くに有珠山という火山があり、この研究を続けていた北海道大学の岡田教授という人物がおられた。2000年3月27日、火山性の地震が頻繁に発生するようになり、3月28日には「噴火する可能性が高い」と会見され、3月29日には「震度3」の地震が発生、この時点で自主避難する人達が170名おられ、室蘭気象台が数日内に噴火の可能性という第1号火山情報を出した。
この発表から地元の町が住民に避難勧告を始め、その日に岡田教授は「1両日中に噴火」と断言。3月30に室蘭気象台が第2号火山情報を発表。避難地域を拡大して11000名の人達が避難。
3月31日、地震の回数が激増。午後1時に噴火が始まり第3号火山情報が発表され、続いて第4号火山情報も発表。4月1日には徹子の旅館のある温泉地のすぐ上の方にある山でも噴火が始まり、第5号火山情報が発表される。
全員が避難を余儀なくされたことから旅館やホテルには誰もいない状況が続き、テレビカメラの映像には想像を絶する光景が流れ、工場が倒壊して埋まってしまったり、国道の段差が信じられないようになっていたのを見て誰もがこの世の終わりだと恐怖を感じたものだった。
岡田教授の言葉が印象に残っている。ずっとこの火山の研究をして来た歴史があり、「有珠山は嘘をつかない火山だ」と言われていたことで、教授のアドバイスから各町のトップが住民の避難を決断したことから一人も負傷者を出さなかったことは奇跡と言われた出来事だが、噴火が治まって温泉地が再開出来たことは本当に嬉しいことであるが、それからはいつも最悪の想定を考え、何かが起きたらご利用くださっているお客様を安全に誘導出来るように態勢を整えており、定期的にスタッフ全員で避難訓練も実施している。
そんな体験があるので今回の地震を専門家が予知出来なかったのだろうかと残念に思えてならないが、東日本大震災もそうだったが、突然に発生する大地震の恐ろしさを再認識させられた気がする。
九州の観光産業が心配だが、今日のニュース映像の中に来日していた外国人へのインタビューもあり、彼らが「九州は素晴らしい、地震は恐ろしいけどまた来たい」と語っていたことが救いになった。
鉄子の旅館のフロントにも支援の募金箱が設置されているが、チェックアウトされるお客様が募金をくださる姿を見ると嬉しくなり、1週間毎に関係窓口に届けることにしている。
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