1週間ほど前、配達された郵便物の中にA4サイズの封筒が入っており、社長である夫宛の物があった。
裏を見て差出人を確認すると「サービス研究協会」とあり、東京都内の住所となっていた。
出張から戻った夫と2人で開封して入っていた10数枚のプリントに目を通したら、それはホテルや旅館の格付けをする組織団体で、五つ星から星一つまで分析するための質問形式の回答書やサービスに関する論文形式の書き込みまで求められていた。
夫は「これは民間のビジネスで格付けを売り物しているもので、様々な業種に流行している『五つ星ビジネス』だ」と言い、封筒の表側に切手が貼られておらず料金別納郵便物のスタイルになっているところから不特定多数に郵送され、この温泉地の他のホテルや旅館にも届いていると推察していた。
その問題はそれから数日後に観光組合で臨時会議が招集され、このシステムに詳しい人物を招いて仕組みについて解説して貰うことになったが、それは夫が指摘していたことと同じで、「五つ星をお金で買う行為でお客様を騙したらいけない」と参加しないようにと結論付けられた。
1ヵ月程経った頃、他の温泉地で「五つ星」を取得してHPやパンフレットに表記しているところも登場したが、その世界に詳しい人物がネットの中で「星を金で売っている」と批判して一気に広まったところから、表記していたホテルや旅館も表記することを止めてしまい、その組織団体も活動をしなくなったようだった。
ミシュランのレストラン評価の星は知られているが、世界は広くて「七つ星」というドバイのホテルまで登場しているし、日本でも「五つ星」を謳っている高級ホテルも少なくないが、どの組織団体が分析して評価したのかは統一されていないようで、中には怪しげなものも存在していると言われている。
ホテルや旅館、またレストランの仕事をしている中で知られているのはフランスのパリに本部を置く「ルレ・エ・シャトー」の存在で、60カ国で530の認証されており、「5つの”C“」のキーワードは垂涎の世界で、長野県の扉温泉の「明神館」が認証されて亀敷いており、夫もいつかは認められるようになりたいと目標にしている。
女将の蔦江はそんな夫の夢を応援したいと思っており、2人でその旅館に宿泊をしたこともあるが、夕食時に「こんな旅館を目指そうと」と語り合ったことを憶えており、いつも忘れないようにしてお客様に接している。
コメントはこちらから
あなたの心に浮かんだ「ひと言」が、誰かやあなた自身を幸せに導くことがあります。
このコラム「小説 女将夫婦の夢」へのコメントを投稿してください。