管理人さんのコラムでブラジルのことに触れられていた。もうすぐサッカーのW杯が始まる。果たして日本のチームはどうなるかと心配しながら応援をしたい。
開催される場所はブラジルだが、随分昔にサンパウロに行ったことがあるので思い出話を書いておこう。
サンパウロの日系人が多い地区に日本名の名前がそのままという「Iホテル」が存在している。日本を出発する前に書店で買って来たガイドブックを読むとそのホテルのことが紹介されており、日本語が通じると言うことで2泊の予約を入れていた。
当時のサンパウロには100キロぐらい離れた2つの空港が存在しており、コンゴニアス空港とビラコッポス空港だったと記憶しているが、空港から500キロほど離れた所へ立ち寄り、1週間ほど過ごしてからサンパウロの市内へ入った。
「Iホテル」の住所を確認しながら大きなスーツケースを転がしながら移動。やっとホテルの玄関に到着したが、そこはイメージしていたこととは全く別世界。玄関を入ってフロントに行くとまるで街で見かけるパチンコ店の景品交換所みたいな箱型の代物。旅行会社が発行してくれた予約カードを見せたら中から日本語で次のように言われた。
「古くてお粗末でびっくりされたでしょう。もしも他のホテルに行かれるならご遠慮なく」
そう言われても1泊はするのが礼儀だろうと思い。取り敢えずルームキーを貰って2階の部屋に入ったが、窓のカーテンを開けたら驚く光景が目に入った。
そこは隣接する家の洗濯干場。子供達がワイワイと遊んでおり、私の方を見ながら手を振っている。これなら簡単に外から侵入される危険性がある。お蔭で一睡も出来ずに朝を迎えることになった。
料金は信じられないほど安かったが、さすがに次の日はヒルトンホテルに行くことにして、予約を依頼に立ち寄った旅行会社らしい事務所が面白かった。奥さんらしき女性が日本の「ねんねこ」みたいな状態で子供を背負っている。どうやら中国系の夫婦みたいで中国語らしき言葉を交わしている。英語の単語を並べてヒルトンホテルと伝えたら、彼は英語とポルトガル語に併せて片言の日本語まで喋ったのでびっくり。
しかし、ここでマンガみたいなハプニングが発生した。電話でのホテルフロントのやり取りの最中、私の方に向かって「いちばん?」と何回も聞くからだ。それは最高級のスイートルームのことだと思ったので「NO」と否定したら、それでも「いちばん?」を繰り返す。そんなやりとりに割って入ってくれたのが奥さんで、その言葉が「一番」と「一晩」の言葉遣いの問題だった。つまり「ひとばん」のことだった。
いやはや日本語とは難しいものだが、ヒルトンホテルに1泊することが出来た。
その夜、地元で著名な人物のお誘いからショーで有名なクラブへ行くことになった。妻が和服に着替え私もフォーマル姿になった。案内をしてくれたのはガイドの人物だったが、10時頃から始まったショー。一流の歌やダンスもあるしマジックショーもある。しかし、前日に一睡もしていなかったので睡魔に襲われ限界を迎えた。
「ここのショーは午前3時からが最高で、どうして1時に帰るのか?」と言われたが、何とかお願いしてホテルに戻った。
この旅行で最悪だったのは時差が12時間ということだった。お蔭で時計を動かす必要はなかったが、帰国してから1ヵ月程時差ボケで苦しむことになったので、サッカー選手達も早目にアメリカ入りされたことは賢明だったと思っている。
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