熊本に大きな地震が襲来した時に女将の倫子は社長である夫と食事をしていた時で、テレビの画面に「地震情報」が流れ、しばらくすると「九州地方にかなり強い地震」とテロップが出て、次に目にしたのが「熊本 震度7」というもので、間違っているのではと夫と話していたことを憶えている。
それが現実のもので2日後にまた本震が発生するなんて想像もしなかったが、余震が1000回を超えているというニュースに改めてびっくりした。
あの日、ご利用くださっていたご夫婦のお客様が福岡県から来られており、テレビのニュースで知られて驚かれ、熊本県との県境に近い所に在住される娘さんファミリーに電話をされてもつながらなく、かなり心配されていたが、大宰府に住む親戚から電話があって少し被害があったけど大丈夫だと知って安堵されていた。
しかし、次の日に予定を変更されて福岡県へお帰りになったが、まさか深夜にまた大きな地震があったのでさぞかし驚かれただろうし、果たして大丈夫だったのだろうかと心配していた。
夕食時にお部屋へ参上してご挨拶をしたが、ご主人が「柳川はいいところで来なさいよ。ウナギ料理の若松屋がお勧めだから」と教えてくださったが、「うな重」や「かば焼き」が大好物の夫と行ってみようかと思っていた矢先の地震だった。
柳川と言えば大相撲の大関「琴奨菊」の出身地としても知られているが、城下町の水郷を船下りで観光することも有名で、次回に九州へ出掛けた時には立ち寄りたいと思っていた。
夜のニュースで九州新幹線と山陽新幹線の直通列車も運転され、新大阪駅から鹿児島中央駅までつながったと伝えていた。まだ一部で速度を落して運転されているそうだが、大動脈の開通は明るいニュースである。
しかし、相変わらず余震が多く、昨日も「震度4」を3回も観測したというのだから恐ろしい話で、熊本に在住する知人が「恐ろしくて家の中におられない」と言っていたことが理解出来る。
被災地へ多くのボランティアの人達が駆け付けている。中には外国人の人達もいるそうで嬉しいが、何より余震が治まって欲しいと願うばかりである。
GWが始まっている。大分県で知られる温泉地「由布院」も休業していた旅館や土産物店がオープンしたニュースもあった。昨秋に夫と黒川温泉と由布院に立ち寄って宿泊したが、その時に利用した旅館の被害がなにのだろうかと心配している。
そんな中、今日の午後3時9分に由布地方を中心に「震度5弱」の余震があった。熊本では「震度2」だったそうだが、観光に訪れていた人達が驚かれただろうと想像する。
また、一方で、阿蘇周辺の温泉地では地震によって湧出が止まってしまったケースや湯量が激減したというところもあった。地中深くにボーリング工事をしてせっかく源泉を得たのに、それがこんなことになってしまうなんて予想外のこと。地震の被害の想定外の一面を知ることになった倫子だった。
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