観光地のホテルや旅館の提案している企画の中には、利用する高速道路料金の一部を負担したり、10リットルのガソリン代をキックバックするというケースもあるが、そんな発想がと驚くものがエコに協力をするという企画で、家庭で使った天ぷら油の廃油をペットボトルに入れて持参すると割引料金が適用されるというものだった。
また、強風が吹くことで知られる観光地で、風速の強さに応じて基本料金が異なるというところもあるし、風光明媚な景観を売り物ししているホテルが、雲や霧で見えなかったら料金を割り引くというところも存在している。
そんな情報をスタッフから聞きながら、自分の旅館で何か新しい企画プランが考えられないかと取り組んでいる女将の菜穂だが、最近に目立って多くなった旅番組を観ながら登場する宿泊施設から参考になることも少なくない。
大浴場で履物のスリッパが乱雑になることも多いが、色の異なったかわいいクリップで印を出来るようにしたらお客様から高い評価を受けたが、これも番組から学んで実践したサービスだった。
菜穂の温泉地にも外湯の存在があるが、各部屋にその情報をプリントにして掲示してあるし、出掛けられる場合にはフロントで「外湯セット」をどうぞと案内してあるので喜ばれている。
菜穂の旅館で拘っている中の一つが番傘と呼ばれる和傘で、少し費用が掛かったが、雨の時に利用されたお客様に初めての体験だと喜ばれている。
シニア世代には「懐かしい」と言われるし、若い女性達からは京都の舞妓さんのイメージを感じるという意見もあったが、支配人から「費用対効果が生まれています」と言われたので嬉しい菜穂だった。
数日前、ある営業の人物が来館した。提案は大浴場に設置する電動マッサージ器のセールスだったが、試験的に一か月間スタッフを入れてお客様にご利用いただくという提案まで進んだが、話を一緒に聞いていた社長の決断から設置しないことになった。
社長の考え方からすると、一部の部屋の中に設置しているところから重なるという意見で、ホテルや旅館のHPの中には部屋のマッサージ器の存在をプランに入れているところもある。
マッサージ器は次々に新しい機種が登場し、リモコンセッティングの分からないお客様もあるので困ることも出ている。便利になって機能がアップすることは歓迎だが、デジタルに苦手な高齢者の存在もあるので簡単ではない。
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