昨日から43人の団体さんがご利用されていた。夜の宴会が大広間で行われたが、よくぞこれだけお飲みになるという程のビールや日本酒の本数を記録し、お湯割りや水割りで焼酎をご希望された方も多く、取引している酒屋さんが喜ばれるだろうと想像していた。
大型バスで来らており、出発の時間は午前9時半。昨日にチェックインされた時に幹事さんが今日の昼食をお弁当とお茶という対応が出来ないだろうかと頼まれたが、料理長は持ち出しされる弁当の提供を避けている。それはどれほど気を付けても昼食の時間まで置かれている場所で危険な問題があり、相談を受けた支配人が観光コースを巡る途中で昼食時間を迎える頃に国道に面している「道の駅」の存在を説明し、そこで予約されることを勧め、道の駅内にあるレストランで行われることになり、予約の電話がそこと交流のある支配人が電話を入れた。
「道の駅」に関する質問が目立って来ている。「道の駅」を数カ所巡るバスツアーも人気が高いそうだが、その地で収穫される食材が訪れる人達に歓迎されるみたいで、山の幸、海の幸が所狭しと並んでいる光景も当たり前となっている。
料理長が野菜の食材を頼んでいる農家も「道の駅」に納品しているが、何より歓迎するのは新鮮なこと。和食会席だけではなく和洋折衷の創作料理にも取り組んでいるので、この「食材」は「食<財>」とも言えるだろう。
納品された一部を女将の悠子も夫婦との食事の食材として貰っているが、公私の別を重んじる夫の性格からきっちりと費用の負担をしており、そんな事実がスタッフと経営者側の絆としてプラスとなり、お客様へのサービス精神のアップにつながるのかもしれない。
山間部の温泉地にある悠子の旅館だが、夕食時の「お品書き」にある「造里」に関してはおかしな物は絶対に出せないことは当たり前、隣り町の大手スーパーの仕入部長と契約していつも新鮮な食材を届けて貰っている。
夕食の内容に関しては一方通行的に旅館側の勝手な流れで出されているが、悠子の旅館では部屋担当の仲居が「造里」のお好みを確認するようにしており、そんな配慮が想像以上に評価されている。
考えてみれば嫌いな物を出されて箸を付けないで戻って来ることも少なくない。それならお好きな物を確認する方が喜ばれるのは当然で、この当たり前のことを無視しているホテルや旅館が多いのも事実である。
あるお客様が笑いながら体験談を話されたことがある。「気仙沼のホテルを利用した際に、『フカヒレと鮑のステーキが付いています』と言われたのだけど、どちらも苦手と伝えると肉料理で対応してくれたのだけど、オムレツ風の大きな玉子焼きが出て来て『旗を立てたらお子様ランチね』と妻に笑われたことがありましてね」というものだったが、この地を訪れる観光客がその地の産物を求めているという勝手な思い込みは危険で、相手の好みに対応する姿勢が重要ということになるだろう。
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