その日の午前中の予定を終え、夫との昼食を前にロビーでニュースを観ていたら、びっくりする内容があった。
それは空港の受付窓口の前にペットを伴ったお客さんがいることで、航空会社がペット同伴の旅行企画を発表し、北海道旅行に出掛けるものだった。
旅館もペット歓迎という対応がされており、夕食時のペット向けの特別料理やペット専用のお風呂まで整っているというのだからびっくりしたが、ペットを家族のように思っている人達も少なくなく、機内でペットと寛ぐ光景は初めて目にする世界だった。
志都子が女将をしている旅館がある温泉地にもペット同伴可能という対応をしているところがあるが、そこはペット同伴の場合いの専用の別棟を有しており、ペットを伴わないお客様とは完全に区別対応が成されている。
その旅館の女将交流があって数日前に来館していたが、お客様にはペット同伴という文字が勝手な想像から誤解を招いてしまい、HPも別に開設することになったと嘆いていた。
「ペット同伴可能」という文字で写真入りで室内でペットと過ごされる写真があれば、そんな部屋に入りたくないと思ってしまうことが生じるのも当たり前で、完全に区別している事実を理解いただかなければ抵抗感が生まれ、一般のお客様が来なくなってしまうことも考えなければならない。
「ペットを連れて散歩出来る専用通路も作ったのよ」と女将が語っていたが、客室稼働率をアップさせるために考えたペット同伴可能の発想が、思わぬマイナスイメージが伝わってしまったことは大失敗だったと後悔し、もう一度練り直して再度新しいサービス発想を訴えると熱く話していたので興味深く聞いていたが、何事も奥深く考えてからスタートしなければいけないということを学んだ気がした。
世の中は猫ブームである。猫より犬を飼っている方が多かったのに、最近は猫をペットとして家族の一員のようにされている家庭も増えているし、猫カフェ、猫の島も話題になり、ネットの紹介から猫を目的に来日する観光客まで出て来たので驚きだが、「癒し」という言葉が目立っており、これからもしばらく続きそうである。
志都子は猫の問題で忘れられないことがある。3年前に亡くなった先代社長が過去に大病を患って4か月間入院した時のことだが、20年以上前からずっと何匹も猫を飼っていたのに、退院してからしばらくするとアレルギー的な症状に悩み、検査をして貰った結果が「猫アレルギー」と判明した出来事だった。
清潔な閑居の病院で生活をしていて自宅に戻ったが、猫に対する免疫が薄くなってしまったみたいで、しばらくは大変だったことを憶えている。
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