関西空港に近い大阪府下のある地域で、30年も続く地元のイベントがネットで炎上してしまい騒ぎになり、想像もしなかった話題になってしまった。
それは、子供達が金魚を川に放流するというものだが、ネットの書き込みの中に「生態系に影響が」とあったことからびっくりするほど書き込みが続き、1回目は金魚を子供達が持ち帰るように変更していたが、2回目は従来通りの行われたというものであった。
満津子が女将をしている温泉街にも似通ったイベントが行われている。旅館街の裏側を流れる渓流で地元の子供達向けに開催されているものだが、費用の大半を旅館組合が負担していることもあり、宿泊されている子供達の参加も認められていた。
始まったのは随分前だが、14回目に事故が発生して数年中止となっていた。その事故はこの地の人達にとって忘れることの出来ない悲しい事件で、渓流に降りて行く階段の途中に慰霊碑が存在している。
上流でゲリラ豪雨が降り、鉄砲水に襲われて子供達が流され、2人の犠牲者が出たものだった。
その事件から行政も上流の天候から警報システムを設置することになったが、3年間は自粛して中止となっていた。
去年から再開されているが、当日は旅館組合の青年部のメンバーが上流で待機し、もしも大雨が降ったら携帯電話で知らせる取り決めもされている。
イベントを開催するには最悪の想定が重要なことで、ただ慎重だけでは済まないことで、万が一への対応を考えることが大切で、組合と行政の打ち合わせも様々な想定を考慮している。
子供達に人気の目玉となっているのが「アマゴ」の掴み取りで、上流で養殖している業者の協力で行われているものだが、青年部のスタッフが前日から渓流の流れを変更するように石を積み、一部をプールのようにする作業で大変である。
各旅館では参加した子供達が持ち帰ったアマゴを塩焼きにするサービスに取り組んでおり、それが楽しみで来られているお客様も存在しており、旅館組合では夏休みの恒例イベントとして定着させたいようである。
満津子の夫である社長は病的なほど心配性で、「もしもお客様の子供さんに事故でもあれば」という思いから、当日は男性スタッフを5人も同行させて対応している。
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