同業のホテルや旅館がどんなサービスを提供しているかを学ぶために女将の福恵は社長である夫とあちこちへ出掛けているが、先月に利用したビジネスホテルでユニークなサービスがあった。
夜の9時半から「夜鳴き蕎麦」をどうぞとあるのでフロントのあるロビーへ行くと、カップ麺とポットの湯が用意されており、10人くらいの人達が食べていたが、夜食にこんなサービスも喜ばれるのではと思いながら食べたら意外と美味しかった。
また、関東のビジネスホテルを利用した時の客室にあった朝食案内を読んでびっくりした。朝食はレストランでのバイキング形式となっていたが、朝食を予約する宿泊利用者が20人に及ばない場合にはバイキングではなく「お弁当」形式で対応となっていたからだった。
その日は20数名のお客さんだったらしくバイキングだったが、ビジネスホテルでは稀なレベルの充実したもので、定宿にしているビジネスマンが多いと想像した。
そのレストランの料理が並んでいるコーナーに貼り紙があった。「お客様の健康を考えたメニューになっています。いっぱいお召し上がりいただき、お仕事頑張ってください」と書かれていた。
最近のビジネスホテルではパンコーナーでも様々な種類のパンが用意されているし、バター、マーガリンをはじめジャムの種類も10種類くらい並んでいるようになっている。
ビジネスマンを対象にしたホテルの朝食ランキングという企画が紹介されていたが、60種類のメニューが準備されているホテルもあってびっくりだった。
これまでのビジネスホテルで最も質素な朝食サービスだったホテルのことを思い出す。喫茶店のモーニングサービスと同じレベルで、食パン半分と小さめの茹で卵が1個ついているのだが、コーヒーもセルフだしトーストもセルフでトースターでやらなければならなかった。
名古屋周辺では喫茶店のモーニングサービスが他府県と異なって充実しており、野菜のミニサラダが添えられているのも当たり前だし、卵料理も様々な選択が可能となっているところが多い。
福恵はオレンジのマーマレードが大好きで、和歌山に在住する友人から夏みかんを送って貰って自分でジャムを作っているが、夫の評価が高いので嬉しいのだが、夫が医師から甘い物をセーブしなさいと指導されているので残念な気がしている。
観光地に出掛けて道の駅に立ち寄ると珍しいご当地ジャムが販売されていることも多く、福恵も夫もそれらを幾つも購入して帰り、お客様の朝食に添えて喜ばれている。
地酒やご当地ビール、ご当地サイダー、ご当地ジャムがブームだが、福恵の旅館のお土産コーナーにもそれらの商品が並べられており、購入される人も少なくない。
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