四国路をバスで走っている。踏切を渡った際「JR何線?」と言う会話があったので、「JRではありません」と答えると、「どうして分かるの?」と続いたので、「線路の幅が広軌だったから私鉄。恐らく琴平電鉄」と答えたら近くの駅を通って確認したら正解だった。
50年以上前、大映の70ミリ映画「秦の始皇帝」を観たが、その中で「人柱」という衝撃的な光景があり、「若尾文子」さんの演じる役柄の不思議なえにしから夫となった人物の悲劇の物語りを映し出していたが、昨日、四国路の旅の中で若い女性の「人柱伝説」のある「堤」を通り、そこに祀られていた女性の像が目に留まった。
香川県の仏生山公園内にある大きな池のほとりにあるものだが、石碑が建っており「いわざらこざら」と刻んであった。
この意味は「言わなかったらよかった」「来なかったらよかった」みたいになるようで、何度も決壊して困っていた人達が、やって来た一座の中の少女が何処かで耳にした「人柱で治まった」と言ったことを聞き、誰もいないから「言い出したお前がなれ」と発展してしまった逸話だが、その堤の決壊が治まると少女の鳴き声が聞こえるようになり、慰霊のために神社を建立して祀ったと伝わっている。
誰が創作したのかは不明だが、「明日の朝、ちきり(機織りの用具)を手にした娘が通るので、人柱に」と告げられ、次の朝に通り掛かった娘に「何を持っているのか?」と聞くと「ちきり」と答えたので悲しくも被害者になったと語り継がれるシナリオもあるが、これらは高松藩の菩提寺である仏生山「法然寺」に隣接する神社に伝わる話である。
昨春は法然上人の誕生されたお寺と比叡山に出発されるまでを過ごされたお寺に参拝し、続いて法難で「四国」に向かわれる前に過ごされた「室津」のお寺も立ち寄ったが、今回は四国に入られてからのゆかりあるお寺「法然寺」とそのお寺の元となっている「西念寺」に参拝して来た。
法然寺で驚いたのはお釈迦様が涅槃された際の世界を再現された像で、その周囲を取り囲まれる十大弟子や動物達、また天上から来臨され雲に乗られるお母様の姿もあり、それは見事で如実な世界で感動することになった。
珍しいのは、動物達の中に「猫」がおり、それも色彩豊かに存在していたのでびっくりしたのだが、猫とネズミが問題になる薬の入った巾着袋はなかった。
このお堂の廊下には大きな僧達の像が並び、歴代の住職の像であることを知ったが、四天王の像も存在していたのでこんな所にこんな大きなお寺がと驚くことになった。
境内には3年前に完成した立派な五重塔があったが、近くにあった二尊堂が今年の1月に火災で焼失してしまったそうで。他に類焼しなかったものだという思いを抱いてしまった。
前述の涅槃像は「嵯峨の立ち釈迦、讃岐の寝釈迦」と謳われる言葉があるぐらい知られるもので、仏教を信仰される人なら一度はご参拝をと願ってしまうが、知らなかった歴史を遡って繙くような旅は本当に意義深いものであり、法然上人のご遺骨が祀られているという西念寺も独特の趣の感じられる世界であった。
コメントはこちらから
あなたの心に浮かんだ「ひと言」が、誰かやあなた自身を幸せに導くことがあります。
このコラム「参拝の旅」へのコメントを投稿してください。