パース空港の国内線にあるカンタス航空のラウンジ「カンタスクラブ」はびっくりするほど広い施設だった。規定の会費を支払ってカンタス航空のメンバー登録をした人や、ビジネスクラスの搭乗客が利用出来る空間だが、様々な飲食物が用意されていても、搭乗してから機内食が出て来る筈なので飲み物だけにしておき、夫はパソコンに「Wi-Fi」をつなぎ、次に行くキャンベラについて調べていた。
キャンベラへ飛ぶ飛行機カンタス航空718便は「737-800型機」でコンパクトな機種だが、飛行時間が4時間半というのだから沖縄から札幌よりまだ遠く、日本の空港からグァムやサイパンへ行くよりも遠いということになるのでびっくりである。
搭乗口に行くと中学生ぐらいの団体が並んでいる。この国でも修学旅行みたいなものがあるのかなと夫と話していたが、夫は成田空港と同じように最後に搭乗しようと言っていた。
搭乗口から階段を降り、ゾロゾロ歩いて行くとタラップがセットされた飛行機が駐機しており、生徒達も乗り込んだ後だった。
機内に入ると前から2列目で、ビジネスクラスの席は「2+2」となっていた。席に着くと同時に女性のCAが日本語で話し掛けてくれたのでホッとしていたら彼女は後方部の担当みたいで姿を見たのはそれっきり。しばらくすると男性のパーサーらしき人物がメニューを持って来てくれて「ワインは如何ですか?」と聞かれたので「ドクターストップ」と答えると気の毒そうな仕種で返してくれた。
扉が閉まると飛行機は滑走路へと向かったが、滑走路に着いてエンジン音が大きくなっていよいよ離陸と思っていたら、100メートルほど走行してからエンジン音が一気に小さくなり、離陸を中止したので驚いたが、何かアナウンスが流れても機内の乗客達に慌てる様子はなく、管制塔からの指示で離陸のやり直しになったと想像したが、飛行機嫌いの夫が蒼白な表情になっていた。
もう一度滑走路のスタート地点に戻ってエンジン音が大きくなって離陸。水平飛行になってから機内食が始まった。料理は鶏肉料理と魚料理があったが、2人は共に魚料理を選択。そこに小振りのジャガイモがいっぱい添えられてあったので夫はご機嫌だった。
窓からの景色は真っ暗。夜間飛行なので当然だが、キャンベラに到着すると午後10時を過ぎることになっており、そこからタクシーでホテルへ移動となると午後11時を回ってチェックインとなる。旅行会社には遅くなる到着になるとホテルに間違いなく伝えて貰うように頼んでいたが、果たして大丈夫なのだろうかと心配をしていた。
窓の中から下界を見ると灯りが賑やかに見えて来た。高度がどんどん下がって無事にキャンベラ空港に到着した。
キャンベラは予想以上に気温が低く寒かった。コートは持参して行かなかったので後悔するぐらいだったが、ターミナルビルのタクシー乗り場の流れはスムーズだったので助かった。
利用したタクシーはトヨタの車だった。ホテルの名前を伝えるとかなりのスピードで走行したが、前に触れたように10円ぐらいずつメーターが上がるので上がりっぱなし。精神的に悪いからこれは日本のようにするべきと思ってしまった。
ホテルまで約20分で到着した。市内の街並みになった頃から料金メーターを見ながら支払うお金を準備していたが、玄関に着いたら冷えるから早く入りたいという思いもそうさせていた。
予約していたホテルはキャンベラ・パークハイヤットだったが、フロントでパスポートを見せてチェックイン。予約表との照合で少し時間を要したがルームキーがカウンターの上に置かれ、それを部屋係のスタッフが手にするのを見てホッとした。 続く
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