夏休みのシーズンは子供連れのお客様が多い。中でも目立つのが小学生を伴われた若いご夫婦のファミリーで、朝食はバイキング形式なので問題ないが、夕食の子供さん対応を選択していただくようになっている。
低額年なら「お子様ランチ」ということが多いが、5年生や6年生の子供達の場合には同じような会席料理を望まれることもあるが、綾子が女将をしている旅館では子供さん用の会席料理を「松・竹・梅」の3種類を用意しており、メニューの案内資料写真をご覧になってご両親と一緒に決められるひとときも喜ばれて歓迎されているようだ。
この企画を構築するにあたって何度も創造して社長と綾子に試食をさせたのは料理長だが、彼の家で同年代の子供達がいるので随分と参考になったと語っていた。
厨房には新しいスタッフが入っている。その一人が女性だが管理栄養士の資格を有しており、これも料理長の発想から高齢者に多い持病対応の食事の配慮だった。
糖分、塩分の計算から膵炎など油の問題もあるので病院食のように細かく対応しているのだが、HPにその対応を表記してからご利用くださるお客様が増えてびっくり。料理長と研究を重ねてデザートの糖分まで計算されているのだから徹底している。
病院に入院して出される食事を食べる時がつくが、随分と薄味になっており塩分が控えめなことを実感する。慣れてしまうとそうでもないが、初めて食べると誰もが気付くので旅館では問題があるが、持病のある方には歓迎されることになり、同伴される方からも喜ばれている。
夕食時に添えられる「お品書き」も面白い。料理長のサインとメニューを監修した管理栄養士のサインも入っており、対応している分析についても表記されているのでお化薬様が驚かれている。
こんな企画が始まったのは夫である社長の入院があった。ある時に受けた採血検査の数値が衝撃的で、典型的な糖尿病を患っており、かなり重症ということで入院したのだが、入院中に料理長が専用色を調べて退院した時には対応してくれ、それをお客様にも提供してみてはということになったものだった。
チェックイン時に病気に関する情報を書き込んでいただくことになるが、これこそ個人情報になる大きな問題で、慎重に扱うということも添え書きされている。
女将がご挨拶に部屋に参上した際にこの話題が出ることも多いが、社長の入院から料理長が栄養管理士を入社させて取り組んだと説明すると皆様から歓迎のお言葉をいただくが、お帰りになってからご友人や知人の方に紹介くださったり、ブログに書き込まれて話題になっているので有り難いことだ。
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