最近のお客様にはお食事の際に「ワイン」を注文されることも多く、社長である夫が2年ほど前からワインについて勉強している。
もう10年以上前の夏の話だが、夫が名古屋で開催された異業種の会のイベントの幹事を担当し、当日の講演の講師だった世界的なソムリエとして著名な「田崎真也氏」と会食をしたことがあったのだが、その時に同席していた人物が「今日のこの料理に合うワインは?」と質問したら、田崎氏は「こんな暑い時期はビールが最高です」と答えられ、爆笑することになったが、質問者である本人はバツが悪そうに俯いていたそうだ。
そんな出来事を聞いた女将の安美は、その後にテレビ番組の「田舎へ泊まろう」を観ていたら田崎氏が北海道へ行ってゲストで出演しておられ、お返しに朝食を担当されていたが、その高度なレベルにびっくりした記憶があり、一流のソムリエは一流の料理人であることを知った。
安美の旅館ではフレンチの創作料理も選択可能で、料理長がワインを使って様々なソースを作るのも楽しみで、夫と3人で試食会を何度か行ったこともある。
凝り性の社長はいつの間にかあちこちからワインを購入しており、ワインセラーが必要だと高額な費用を掛けて露天風呂に繋がる階段の横を改造して専用室を作ってしまった。
この温泉地の社長会、女将会、料理長の会合同でワインの勉強をする研修会を何度か開催したこともあるが、講師として迎えた一流のソムリエの皆さんの料理に対する蘊蓄は参加者全員が驚嘆するレベルで好評を博している。
白ワイン、赤ワイン、ロゼなど基本的なことを学んでおかなければならないが、最近は国内でもワイン専用の葡萄から育てることが増え、評価の高いワインが登場している事実もある。
宿泊されるお客様には誕生日、結婚記念日など生の記念日を迎えて来られていることもあり、シャンパンを要望されることもあり、数種類のシャンパンを用意しているが、夫から聞いたシャンパンの奥深い話は想像以上に興味深いことだった。
安美が小学生の頃、父が赤玉ポートワインを飲んでおり、食事の時にちょっとだけ味わって二度と口にすることはなかったが、夫はその銘柄のことを知らなくて「養命酒ではないか?」と言ったので大笑いしたこともあった。
夫の友人で商社マンのとして活躍している人物がいるが、彼が奥さんを伴って宿泊された時に外国在住時の体験話が印象に残っている。
「ヨーロッパで半年生活していたのだけどね、帰国したら食事時にワインがなければ何か物足りない気がするようになって困ってね、習慣というものの影響は大きいことを実感したよ」
安美はワインを提供するようになってから学んだことは、ワイングラスにも様々なタイプがあるということで、その専門書を購入して読んでいるが、乾杯の時にグラスを合わせて音を出す行為がいけないことを初めて知った。
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