ヘラブナ専用のカーボン樹脂製竿が登場したのは1960年代だった。それまでグラスファイバー製だったものを劇的に進化させたもので、軽くて細いので急激に人気が高まり、特に長い竿を好む釣り師達が好んでいたようだ。
21尺と18尺の「兆」という名柄を購入したことを憶えているが、竹製の和竿に比較すると本当に軽かったが、「味」「情緒」ということからすると自然の独特の材質に劣っていることは否めなかった。
「兆」と競合する釣り具メーカーが発売していた竿に「極細峰」シリーズがあり、数種類を購入して使っていたが、私の好みは「兆」よりも「極細峰」だった。
そんな時期を経て和竿の世界へ進んで行った歴史があるが、交流のあった「ヘラブナ釣り師」仲間でも同様の意見が出ていた。
ダム湖での釣行が好きだったことから、専門雑誌で知るところとなった各地の情報をまとめ、いつかは挑戦をと考えていた時代もあった。そんな中に熊本県球磨川上流にある「一房ダム」や宮崎県の「椎葉ダム」、三重県「七色ダム」、その上流にある「池原ダム」。また近場となる「津風呂湖」などが情報ノートにしたためていた。
岡山県の「湯原湖」や兵庫県の「引原ダム」や「東条湖」に出掛けたこともあるし、奈良県の五条から山間部に行った「猿谷ダム」でも楽しい思い出がある。
苦い体験をしたのは愛媛県大洲市の肱川上流にある「鹿野川ダム」で、俳優の近衛十四郎さんと松方弘樹さんの親子のお気に入りである「堀さん」が経営されていたと記憶する船宿には釣果の記録を綴るノートが置かれ、仲間と3人で出掛けた際、そのノートに近衛さんと松方さんが前日に40センチ以上のヘラブナを30匹以上という結果に胸を躍らせ、気が高まって寝不足で挑戦となってしまい、誰も一匹も釣れずに帰阪した体験もあった。
近衛さんと松方さんの釣り好きは有名だったが、「ヘラブナ釣り」に対する情熱も半端じゃなく、京都府の亀岡にヘラブナ専用の釣り池を有されるほどで、私もかなり深い池だったので何度か釣行したことがあるが、テレビドラマの時代劇に登場される俳優さん達が昼食の準備の手伝いをしていたことを憶えている。
松方さんとは面白いご仏縁があった。大阪府下の泉佐野市にヘラブナ専門の釣り道具を扱うところがあり、一部の人達しかしらない存在だった。
釣具店と表記された看板も一切ないし、表から見れば立派な屋敷という家が前だが、紀州の竿師との交流が深く、屋内の応接室には特別な竿が展示されていた。
ここのご主人に特別な物を製造出来ないかと相談したら、知り合いの建具屋さんで別注で対応してくれることになった。
それは、椅子の代わりともなる道具箱で、突然の雨に濡れても大丈夫なように外側の塗装を考えて貰った桐材のものだった。
それから1ヵ月経った頃、「出来たよ」との電話があり、喜び勇んで訪問したら、信じられないことをご主人から聞かされた。
「途中で逢わなかった? さっきまで松方弘樹さんが仁科さんと一緒に来られていて、あなたの道具箱を見られて『最高!何とかよろしく伝えてよ』と無理やり持ち帰ってしまったのです」
こんな横着な話があるだろうか。著名な芸能人だからと許されるものではないが、その前から彼がこのご主人と特別な交流があることを知っていたこともあり、至急に別の物を作って貰うことで納得することにした。
その道具箱は今でも有しているが、苦い体験を忘れないようにとベルトに「鹿野川ダム」の遊漁札を記念にぶら下げている。
今日の写真は「おはなはん」の物語の舞台となった愛媛県大洲市肱川上流の「鹿野川ダム」を。
21尺と18尺の「兆」という名柄を購入したことを憶えているが、竹製の和竿に比較すると本当に軽かったが、「味」「情緒」ということからすると自然の独特の材質に劣っていることは否めなかった。
「兆」と競合する釣り具メーカーが発売していた竿に「極細峰」シリーズがあり、数種類を購入して使っていたが、私の好みは「兆」よりも「極細峰」だった。
そんな時期を経て和竿の世界へ進んで行った歴史があるが、交流のあった「ヘラブナ釣り師」仲間でも同様の意見が出ていた。
ダム湖での釣行が好きだったことから、専門雑誌で知るところとなった各地の情報をまとめ、いつかは挑戦をと考えていた時代もあった。そんな中に熊本県球磨川上流にある「一房ダム」や宮崎県の「椎葉ダム」、三重県「七色ダム」、その上流にある「池原ダム」。また近場となる「津風呂湖」などが情報ノートにしたためていた。
岡山県の「湯原湖」や兵庫県の「引原ダム」や「東条湖」に出掛けたこともあるし、奈良県の五条から山間部に行った「猿谷ダム」でも楽しい思い出がある。
苦い体験をしたのは愛媛県大洲市の肱川上流にある「鹿野川ダム」で、俳優の近衛十四郎さんと松方弘樹さんの親子のお気に入りである「堀さん」が経営されていたと記憶する船宿には釣果の記録を綴るノートが置かれ、仲間と3人で出掛けた際、そのノートに近衛さんと松方さんが前日に40センチ以上のヘラブナを30匹以上という結果に胸を躍らせ、気が高まって寝不足で挑戦となってしまい、誰も一匹も釣れずに帰阪した体験もあった。
近衛さんと松方さんの釣り好きは有名だったが、「ヘラブナ釣り」に対する情熱も半端じゃなく、京都府の亀岡にヘラブナ専用の釣り池を有されるほどで、私もかなり深い池だったので何度か釣行したことがあるが、テレビドラマの時代劇に登場される俳優さん達が昼食の準備の手伝いをしていたことを憶えている。
松方さんとは面白いご仏縁があった。大阪府下の泉佐野市にヘラブナ専門の釣り道具を扱うところがあり、一部の人達しかしらない存在だった。
釣具店と表記された看板も一切ないし、表から見れば立派な屋敷という家が前だが、紀州の竿師との交流が深く、屋内の応接室には特別な竿が展示されていた。
ここのご主人に特別な物を製造出来ないかと相談したら、知り合いの建具屋さんで別注で対応してくれることになった。
それは、椅子の代わりともなる道具箱で、突然の雨に濡れても大丈夫なように外側の塗装を考えて貰った桐材のものだった。
それから1ヵ月経った頃、「出来たよ」との電話があり、喜び勇んで訪問したら、信じられないことをご主人から聞かされた。
「途中で逢わなかった? さっきまで松方弘樹さんが仁科さんと一緒に来られていて、あなたの道具箱を見られて『最高!何とかよろしく伝えてよ』と無理やり持ち帰ってしまったのです」
こんな横着な話があるだろうか。著名な芸能人だからと許されるものではないが、その前から彼がこのご主人と特別な交流があることを知っていたこともあり、至急に別の物を作って貰うことで納得することにした。
その道具箱は今でも有しているが、苦い体験を忘れないようにとベルトに「鹿野川ダム」の遊漁札を記念にぶら下げている。
今日の写真は「おはなはん」の物語の舞台となった愛媛県大洲市肱川上流の「鹿野川ダム」を。
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