最近対応するべきかどうかで悩んでいる問題がある。大手旅行会社からの問い合わせで高額料金でもよいからいい旅館を紹介しろ」と言われて困っている。貴旅館で対応出来ないだろうかということが増えて来ているのだが。立場としては考えたいのは山々だが、そのお客様は中国から来られる方々で、中国語は対応出来ず英会話なら何とかなりますと返している。
詳しく聞いてみると、中国の大手旅行会社経由で日本の旅行会社に入るものだが、高額でもよいのに受けてくれる宿泊施設が少ないので困っているということだった。
そこには言葉の他に問題があるみたいで、文化やしきたりの違いのギャップや擦れ違いは簡単ではなく、言葉のコミュニケーションが弱かったら解決することは不可能で、対応する側の精神的エネルギーの負担は想像以上のレベルで、過去に体感した出来事から受け入れをお断りして現在まで至っているが、旅行会社の方も何とかしなければならない状況を迎え、高級旅館と呼ばれる旅館へのアタックを試みているようだ。
1年ほど前に特別室を提供した中国の4人家族のお客様があったが、中学生ぐらいの子供さんが大浴場の男湯と女湯を洋服のままで扉を開けて見学されたみたいで、入浴されていたお客様から強い抗議があって謝罪に走り回った苦い体験が忘れられない。
朝食のバイキングでも問題が発生した。和歌子の旅館の朝食は「部屋食」「食事処」「レストランバイキング」の3種類の選択が可能で、そのお客様はチェックイン前からバイキング形式で予約されていた。
その日のバイキングを選択されたお客様は9組28名様だったが、十分に足りる料理を準備したのに足りなくなってクレームが発生したのである。
レストランで確認してみると原因は中国からのお客様、とても食べ切れない量をテーブルへ運ばれていたからで、中国では残すことがマナーであることをその時に初めて知った。
そんな体験から中国の文化に詳しい方の記事を読んだら、びっくりすることが書かれてあった。「中国は他人の権利を侵害する自由がある。しかし自分の権利を保護する自由はない」というものだった。
着陸した飛行機の機内で「外気が吸いたい」と扉を開けようとして制止された事件も報道されているし、ビジネスクラスを利用した乗客が救命胴衣を持ち帰ろうとしたのを制止したら「高い航空運賃を支払っているのだからこれぐらいは」と持ち去ったことも有名になっている。
また、機内食のナイフとフォークを持ち帰ろうとしたのを制したら「含まれている筈」と譲らなかった事件も起きており、文化やマナーの前に何か問題があるのではと考える和歌子だった。
コメントはこちらから
あなたの心に浮かんだ「ひと言」が、誰かやあなた自身を幸せに導くことがあります。
このコラム「小説 女将の悩み」へのコメントを投稿してください。