女将夫婦が楽しみにしているテレビ番組がある。原作は「久住昌之氏」の漫画だそうだが、テレビでは「松重 豊さん」が主人公を演じ、今や視聴率の高い人気番組となっている。
深夜に観るので夜食を食べたくなってしまうのが問題だが、個人で雑貨輸入商を営んでいる主人公の食べっぷりがあまりにも見事なのでつい何かを食べたくなってしまうのである。
主人公の名前は「井之頭五郎」という設定だが、この企画をフジテレビに持ち込んだら印象がよくなかったのでテレビ東京系で放送されているが、こんなに人気になった事実にフジテレビは臍を噛んでいるかもしれないと想像する。
あちこちの国で翻訳されて話題にもなっているが、面白いのは台湾で「孤独的美食家」というタイトルになっていた事実を知られた原作者が抵抗感を覚えておられたら、やがてテレビ番組では「美食不孤単」となって「美味しいものがあれば孤独でない」という意味に変更されてこの方が合っているという逸話も紹介されていた。
どこの町にでもある普通の飲食店に立ち寄って壁に貼られたメニューから選択をするのだが、先客達が食べている物を確認しながら独り言を呟くのも面白く、夫と2人で観ながらビデオ収録もしている。
夫はこの番組が始まる少し前に決まったことをしている。それはポットの熱湯を入れて即席麺を準備することで、お気に入りは日清食品の「きつねどん兵衛」だが、こんな深夜に食べて大丈夫なのだろうかと何時も心配している智子だった。
智子もそんな夫に批判的な言葉を掛けられない事情があった。それは智子自身も側に置いてポリポリ食べている物があるからで、それはテレビ番組の「県民ショー」で知った三重県民が愛する「田舎あられ」で、これを湯呑に入れて熱湯を掛けて食塩を加えるとびっくりするほど美味しく、嵌ってしまったところからネットで調べた販売店から定期的に購入するようになっている。
この「田舎あられ」と出会ったのは伊勢神宮へ参拝に行った際の観光バスで立ち寄った「道の駅」で購入したのが始まりだが、湯に入れて食べることを知ったのが「県民ショー」で、それから病みつきみたいになってしまったのである。
三重県内ではコンビニや何処のスーパーでも店頭に置かれているそうだが、智子の地元の店舗では見つからず、ネットで検索をして注文するようになった経緯があった。
最近は、その「田舎あられ」を夫が「きつねどん兵衛」の中に入れ、「これ、最高だ!」なんてやっているので消費が早く、毎週注文をしなければならないが、ちょっと気恥ずかしい心情で電話注文をする智子だった。
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