最寄駅から遠くにある山間部の温泉地は、何かの特徴がなければ寂れてしまうので地元の行政や観光組合と共同で集客につながる企画を進めている。
今日も観光組合主催の社長会と女将会の会合があった。その中でユニークな発想をしている女将会について紹介があった。一つは福島県のいわき温泉で、女将会が着物姿でフラダンスを踊るというもので、近くの炭鉱産業の跡地でフラダンスが採り入れられて有名になり、映画にもなった歴史があるので知られているが、着物姿でフラダンスとはまた奇抜な発想である。
もう一つは加賀温泉の女将達が「レディ・ガガ」に因んで「レディ・かが」というキャッチコピーを打ち出したことで、あちこちの駅のポスターでも見掛けるユニークなものであった。
加賀温泉は片山津、山中、山代、粟津などの知られる温泉が集まっており、小松空港の存在もあるし、北陸新幹線の開通もあって訪れる人が多いが、老朽化している建物や法規制による耐震性の問題から廃業したり譲渡されたホテルや旅館も多く、各温泉地が総力を挙げて集客につながる知恵を絞っている。
会合の中で気になったことがあった。あるホテルの駐車場に停めていたお客様の車が数台車上荒らしに遭ったそうで、助手席側のガラスが割られてダッシュボードの中を詮索したり、中にはナビが取り外されて持ち去れていたケースもあった。
そのホテルの社長の話では防犯カメラの設置があるが、被害に遭った部分はカメラの死角になっていたそうで、今後のことを考えてすぐに増設したそうである。
「駐車場内での物損事故や盗難は責任を負えませんのでお気を付けてください。施錠をお忘れないように。車内にバッグなどのお荷物を置かれないように」と注意書きが掲載されているところも多いが、最近はこんな犯罪があちこちで多発しているようで、参加していた地元の警察の防犯課の担当者も防犯対策のテクニックについて提案され、大いに参考になった。
由紀が女将をしている旅館がある温泉地は山間部にあり、川が流れに沿って走る広くない県道に旅館街が並んでおり、何処も駐車場のスペースは数台で、前述のホテル以外の宿泊施設は観光組合が借地に準備した共同駐車場を利用しており、5分ほど離れているのでチェックアウト時には数名のスタッフが車の移動をするところと、お客様を駐車場まで送迎するケースの2種類があるが、もしも事故ということを想定するとどちらも問題があることは事実で、心配性の社長はいつもそのことが気になっていた。
車上狙いの事件の発生から、観光組合の共同駐車場も防犯カメラの増設が決められたが、警察の防犯担当者が「どんな対策をしても犯罪者は行動します。イタチごっこということを念頭に置いてください」と言われた言葉が印象に残っている。
コメントはこちらから
あなたの心に浮かんだ「ひと言」が、誰かやあなた自身を幸せに導くことがあります。
このコラム「小説 女将、会合に出席」へのコメントを投稿してください。