かつてテレビのCMで「皇潤」を目にすることは日常茶飯事だった。女優の「八千草薫さん」が目立っていたが、個性的な男優として知られた「三国廉太郎さん」も起用されていた。
「皇潤」の会社が韓国企業に移ったニュースもあったが、その後にこのCMが激減していたことは確かである。
最近のCMにはサプリメントが多いが、ヒアルロン酸やコラーゲンという言葉が目立っており、胡麻のセサミンやスッポンパワーまで登場している。
還暦を迎えた女将の寧夏は数年前から「皇潤」を購入して続けていたが、2年前に娘である若女将が提案したことから方向転換。それは寧夏の旅館の名物的企画として人気が高い。
2年前の春だった。京都で開催されたホテルや旅館の経営者向けセミナーに若女将が参加。受講した後に交友のある数名の人達と「スッポン料理」を体験し、そのスープの味が最高だったと帰って来たのである。
そんな体験談を料理長にしたら、過去に東京の割烹に勤務していた時に「スッポン料理」を担当していたことがあり、料理の初めに血液と一緒に提供される「スッポン」の臓器について詳しい解説をしてくれ、「心臓に効果があります」「血圧の高い方にお勧めです」「眼にいいですよ」なんて言葉を聞くと京都で体験して来たことをそのまま思い出すことになった。
若女将が体験した時はお酒で割ったものを「噛まずに飲み込むように」と言われたそうでそうしたそうだが、料理長の話によるとお酒が苦手な人はジュースで割ることも出来るそうだ。
それから3ヵ月後だった。若女将と料理長が話し合って企画したのが「特別料理」の「スッポン」を提供することで、「スープコース」と「鍋コース」の選択が可能というもので、料金は高額だがHPにも掲載したら女性のお客様の予約が増え、予想もしなかった売り上げアップにつながっている。
これを機に、その後も若女将は女性が喜びそうな企画を考え、健康と美容をテーマとする「薬膳料理」まで打ち出し、若い女性客の注目を集めており、女性週刊誌で紹介されたことから話題になり、予約される女性客の大半が「薬膳料理」なのだから驚いている。
そうそう、料理長はその世界のことも学んだ歴史があり、若女将が「薬膳料理」と発言した際に「膳」という言葉が料理を意味するところから「薬膳」が正しいのですと指摘していたので、HPや部屋の中の案内資料にはそんな解説もしている。
薬膳そのものは中国の歴史から伝わる自然食の効果を研究されたもので、我が国で言われる「医食同源」みたいなものだが、様々な食材の持つ効能を解説した資料をお客様にご覧いただくようにしており、それを読まれるだけで効果があるように思うのだから不思議で、寧夏もその薬膳のファンの一人となっている。
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