ある若い女性が入院していた。彼女は大企業に勤務し、業務中に気分が悪くなって産業医の診察を受け帰宅。しばらく横になってから念のために病院へと一人でタクシーに乗ったが、走行中にまた気分が悪くなり運転手さんの機転で自宅近くの出発地に戻った。
帰宅した娘さんが尋常でないと気付かれたお母さんが近くにあった中堅の病院へ連れて行き、取り敢えず入院して様子を見ようということになった。
その日は循環器の医師やCT検査の技師も休日で、それらの診察は次の日の午前中に行われることになったことが不幸だった。
そして次の日に検査が行われたが、気分が悪くなる筈で、僅かながら脳内出血の兆候が判明した。
しかし、その時は記憶の神経部分にまで影響を及ぼす状態になっており、彼女は新しい記憶が一切入力不可能となってしまっていた。
幸い発症するまでの記憶は正常だったのでお母さんのことは理解出来たが、3か月間のリハビリの様子はびっくりする方法が行われていた。
担当される療法士さんが病室に迎えに行き、そこから2人で廊下を一周するのだが、途中の手摺りにメモ用紙を隠し、それを彼女が発見出来るようになる訓練を進めていたのである。
彼女は自分の病室を出ると戻れなくなるので大変だったが、いつもお母さんが付き添っておられた姿を鮮明に憶えている。
1ヵ月ほど経つと少しよくなったみたいで、私の顔を憶えてくれて笑顔を見せてくれたので嬉しかったが、回復には数年を要するとお母さんが辛そうに語られ、医師や検査技師の休日で診断が遅れたことを悔やんでおられた。
世の中には幸運もあれば不幸もある。脳外科の前で倒れた人がすぐに運び込まれて手術を受け後遺症もなく救われた人もあれば、山奥の温泉で発病して救急車が間に合わずに亡くなられた不幸な人もおられた。
それらも「寿命」と言う人もあるが、私も救急車の中で受け入れる病院が見つからず30分も苦しんでいた体験をしている。お蔭で様々な後遺症が残ったが、最も生活に必要な問題が奇跡的に回復したので幸運だったと思っている。
幸せとは気付かないことがいっぱいある。大病を患って「自分で着替えが出来る」「タオルが絞れる」「銭湯へ行ける」「食事が出来る」「味が分かる」だけでも凄く幸せを感じている。
季節が冬に向かって寒くなりつつある。駅の階段にある手摺りの冷たさを感じるようになって来た。手摺りにも木製と金属製があるし、太さが異なっているだけでも感触が全く別物になる。
降りる時に要注意なのは手摺りを持とうとする瞬間である。上着の袖に手摺りが入ってしまう危険性があるからだ。
今日の写真は私が救急車で運び込まれた病院である。入院中、毎朝讃美歌が流れてお説教も聞こえる中、一ヶ月の入院からリハビリ専門病院へ転院することになった。
帰宅した娘さんが尋常でないと気付かれたお母さんが近くにあった中堅の病院へ連れて行き、取り敢えず入院して様子を見ようということになった。
その日は循環器の医師やCT検査の技師も休日で、それらの診察は次の日の午前中に行われることになったことが不幸だった。
そして次の日に検査が行われたが、気分が悪くなる筈で、僅かながら脳内出血の兆候が判明した。
しかし、その時は記憶の神経部分にまで影響を及ぼす状態になっており、彼女は新しい記憶が一切入力不可能となってしまっていた。
幸い発症するまでの記憶は正常だったのでお母さんのことは理解出来たが、3か月間のリハビリの様子はびっくりする方法が行われていた。
担当される療法士さんが病室に迎えに行き、そこから2人で廊下を一周するのだが、途中の手摺りにメモ用紙を隠し、それを彼女が発見出来るようになる訓練を進めていたのである。
彼女は自分の病室を出ると戻れなくなるので大変だったが、いつもお母さんが付き添っておられた姿を鮮明に憶えている。
1ヵ月ほど経つと少しよくなったみたいで、私の顔を憶えてくれて笑顔を見せてくれたので嬉しかったが、回復には数年を要するとお母さんが辛そうに語られ、医師や検査技師の休日で診断が遅れたことを悔やんでおられた。
世の中には幸運もあれば不幸もある。脳外科の前で倒れた人がすぐに運び込まれて手術を受け後遺症もなく救われた人もあれば、山奥の温泉で発病して救急車が間に合わずに亡くなられた不幸な人もおられた。
それらも「寿命」と言う人もあるが、私も救急車の中で受け入れる病院が見つからず30分も苦しんでいた体験をしている。お蔭で様々な後遺症が残ったが、最も生活に必要な問題が奇跡的に回復したので幸運だったと思っている。
幸せとは気付かないことがいっぱいある。大病を患って「自分で着替えが出来る」「タオルが絞れる」「銭湯へ行ける」「食事が出来る」「味が分かる」だけでも凄く幸せを感じている。
季節が冬に向かって寒くなりつつある。駅の階段にある手摺りの冷たさを感じるようになって来た。手摺りにも木製と金属製があるし、太さが異なっているだけでも感触が全く別物になる。
降りる時に要注意なのは手摺りを持とうとする瞬間である。上着の袖に手摺りが入ってしまう危険性があるからだ。
今日の写真は私が救急車で運び込まれた病院である。入院中、毎朝讃美歌が流れてお説教も聞こえる中、一ヶ月の入院からリハビリ専門病院へ転院することになった。
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