患者を「様」付けで呼ぶようになったのはいつ頃のことだったろうか。聞くところによると、それは、病院や医院が患者を「お客様」として考えるサービス業への発想転換が始まったことからだそうである。
随分昔の記事で、住民を分母とし、医師を分子とする密度についての解析があったが、当時では徳島県の密度の低さがトップで、患者の獲得のために競い合う様々なアイデアが登場、そんな中で「様」という敬称も始まったものと想像出来る。
患者達の会話を耳にしていると、医師の出身大学が話題になっていることが多いが、今や、口コミと共にネットの掲示板などで伝わる風評の怖さには、神経を遣わざるを得ない現実となっているようだ。
医学部に在学中、将来の開業に備えてどこの銀行も抵抗なく融資をしてくれた歴史もあるが、今ではそれも厳しくなり、「この学生が医師となって患者が集まるだろうか?」という人柄が、重要な条件にもなっている。
病院や医院はサービス業であるとの発想の裏側には、基本的な技術に生まれる信頼感が重視されるが、アメリカでは「当たり前」になっている「セカンド・オピニオン」や「サード・オピニオン」という社会常識が我が国にも伝播されたのは確かなようだ。
ありとあらゆる職業の中に共通すること、それは悪評の広まりは早いが、その逆のケースは時間が掛かって中々広まらないという事実である。
これらは、食の世界に「美味しい」と評判を呼ぶ店にも見られ、「混雑しないように」「他人に知られてなるか」という自分だけの秘密という「蜜の味」的な要素が含まれ、時にはそれらが偽情報として広まることさえあるので厄介である。
医師にも様々なタイプがあるのも事実。患者の素朴な質問に対して「黙って言う通りにしておけばよい。ゴチャゴチャ言うな」なんて叱る先生もいるそうだが、「親先生は優しかったけど、若先生になって怖いから別の医院へ」というようなケースも少なくないのも事実。
インフォームドコンセントという言葉が世に出て来てから久しいが、患者を納得させる説得力なくして医師は成り立たず、医学部で技術を学ぶと平行して、人間としての存在と言葉遣いの重要性をを研鑽して来て欲しいものである。
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