テレホンカードが重宝された時代があったが、携帯電話の流行で緑色の電話機の姿が全く目立つことがなくなり、机の引き出しに何枚も入っているという人も多いと想像する。
昔、このテレホンカードが葬祭業界を泣かせた時代があった。葬儀に於ける「返礼品」として使われ始めたからで、すぐに半分ぐらいまで席巻してしまったのだから大変だった。
何が困ったのかと疑問を抱かれる方もおられるだろうし、手数料が低かったからと誤解されたくないので説明するが、まずは薄過ぎることから会葬礼状に挟み込んだり、封筒に入れ込んだりする際にミスが発生する危険性が高く、お持ち帰りいただいた参列者が入っていなかったというクレームにつながることだった。
最近に話題になっているクレーマーだが、当時にそんな人達の格好の対象となった問題もあったし、厚めの台紙を工夫させたりして改善したこともあったが、「入っていなかった」と言われたらそれこそ水掛け論になってしまい、謝罪して保障するしか道はなかったのである。
印刷した会葬礼状、そしてそれを入れる封筒、それにテレホンカードが入った小さな袋を積み上げ、まずはそれぞれ20枚ずつぐらいに整理して作業を始めるのだが、どこかで何かが1枚余ればやり直しという確認が可能で、数名でそんな作業を行ったにも関わらずクレームの電話があったら一気に疲れが出たものである。
そんな苦労をNTT側は一切考えずに販売するだけ。スタートした頃には日曜祭日は休日だったので信じられない殿様商売。社会に流行させようと考えたのがNTT社員の家族のご不幸。強制的に命じて全国で奨励したものだが、そのお蔭で我々業界は大変な目に遭った。
お通夜や葬儀当日の返礼品は、確かに荷物にならないものが考えされるだろうが、金額が不明というのもポイントがあり、商品券やテレホンカードのように「500円」や「1000円」と金額がはっきりと分かるものは敬遠されたものだが、それらを超越する勢いがあったことは事実である。
NTTの担当課長さんが来社した。「満中陰に故人のお写真を入れたテレホンカードを企画しまして」と提案してきたのだが、「故人のお顔が入ったカードで電話が出来るとは難しい。お顔に穴が空く事実にも耐え難い」と返したら意気消沈され、「さすがにプロらしいご意見です。納得です」と寂しい後姿で帰られた。
結びに生活情報として書いておくが、テレホンカードがいっぱいある人達は電話料をテレホンカードで支払えることも知っておきたい。但し、通話料に充当する範囲内で基本料金は不可となっており、未使用のカードという条件も課されている。
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