列車に揺られてついついうたた寝をしていた様だ。目がすっきり覚めたので持参の本を読むことにした。タイトルは「プラスティックスープの海」著者はチャールス・モアとカサンドラ・フィリップスの共著、出版はNHK出版から。
内容は地球環境の中での太平洋など大海洋における主としてプラスティック廃棄物による見逃す事など到底出来ない大問題を発見して世間に訴えているのだ。
人類は一部を除いてほとんどが大陸部に住んでいて海の事などほとんど関心がない。私達日本人も四方を海に囲まれた島国に住んでいるにもかかわらず、漁業を営む人達を除いてほとんど関心を持ち合わせていない。
そして古より人間生活の廃棄物は川に捨てられそれが海に流れ出ていたのだ。そしてそれら廃棄物は自然の力、主に微生物の力で分解されたり、魚類の餌となったりで自然の循環サイクルの中で一部大都市近辺を除いて、まあうまく廻っていたのであった。
しかし石油が燃料としてだけではなく、プラスティックが発明されて石油化学工業が隆盛となり、その便利さ故に多方面に利用され始めた事によりとんでもない問題が次々と発生したのである。
その中の一つが使用済みプラスティック類のポイ捨てが地球全域に広がり、それらが河川を通して海に流れ出たのである。ポイ捨ては陸部だけでなく船の上からも行われたのだ。そして今では漁網までがプラスティック製となり、使用後そのまま捨てられてしまう現象まで起こっているのだ。
それで、何が問題なのかと言えば、プラスティックは水に溶けずにいつまでもプラスティックのままでいると言うこと。そして具合の悪い事に、溶ける事はないが、日光に当たり続けると成分はそのままで細かく砕けて仕舞うのだ。ミリ単位以下の細かさになり海水の方面近くを漂うのである。
それに加えて地球の自転で海流が起こっているが、大海洋ではそれが大きな渦となって循環している。その流れに軽いプラスティックが乗り長い時間かけて漂流し、一部は島に漂着し、残りはある海域に集積している様なのである。
そして決して見過ごす事など出来ない事件が既に発生しているのをご存じかな。それは浮遊するプラスティック類を餌と勘違いするお魚たちがいると言うこと。現に、かじられた後が歴然と残っている残骸、そして微少な粒子にまで分解したものを小魚が食べ、それをより大型の魚が食べるという食物連鎖が現実に起こっているのだよ。我々の口にも既に入っているかもしれない。しかも一部の粒子には毒性を持つ藻類などの微生物が付着しているのだぞ~。これを知って何とも思わないなんて、今のご時世で考えられますか。
たまたま自家用ヨットで航海を楽しんでいたモア氏がそれを発見、これはエライコッチャとなった次第である。それから仲間と一緒に調査した結果、こりゃ海水にプラスティックが混ざり込み、まるでスープ状態じゃないか、という事で「プラスティックスープ」という何とも不気味な感じが漂う言葉が生まれたのであった。
ここで何故私がこの本を旅の道連れにと持ち込んだのか説明せにゃならんだろう。
実は私目、ラテン歌手として10数年経過した頃、ある転機が訪れ再就職をしたのだ。そこは公害防止器機の製造販売をする会社で、その時以来現在まで音楽を続けながらも環境問題にずっと関わって来ているのだ。その中で数年前にプラスティックスープの存在を知ったのだった。しかし当時はそれだけの関心でしかなかったが、昨年秋、突然閃きが起こり、この問題の解決に取り組むべきプロジェクトを思いついた。
名付けて「プロジェクトSOOKAI]である。これこそ私の残り人生の全てをかける人生集大成プロジェクトに違いないと感じた。しかしよく考えてみると、とんでもない事なのだ。でも誰かがやらねばならない事には違いない。エーイ、男ならやっちまえ!。そして嬉しい事に心強い賛同者が現れたのだ。
以後はいずれまた。
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