近年、ヨーロッパ各国に置いて、宗教の色を濃く出して議論をすることは、控えられています。
それには 皆さんもご存知の通り、いろいろな背景があります。
しかし、宗教の色を超えた「良い考え」(ボン・センソ)には 大いに耳を傾けるべきではないでしょうか。
そこで、是非とも、先日のローマ法王のお話をさせて頂きたいと思います。
今回のブラジルご訪問に際し、法王は 従来から用意されることが当然になっている「特別機」は ご自分のためには準備をしないようにと命じられたという事です。ご自分は 「エコノミー・クラス」でと仰られたそうです。
それを承った航空会社側は ご高齢の法王にとっては長旅になるので、ゆっくりとお休みして頂く為にも、せめて、座席だけでも特別に用意したいという趣旨。
なんとも、法王には 頭の下がる思いをさせられることでしょう。
正に「お金というものは 人間が生活する上で、必要なところに必要なだけ
使われるものである。」
以前にも仰られていた事を実例をもって教えられた思いです。
法王は これまでもアルゼンチンとローマ間を「エコノミー・クラス」で往復されていたそうです。更に、ローマへ着かれた後も、宿とバチカンの往復には
バチカンの黒塗りの公用車を利用することはなく、何時も、ご自分で自転車に乗られていました。そのお姿は 私も数年前に拝見しております。
そして、時には一般人にお声をお掛けになり何よりもコミニュケーションを大切にされていらっしゃいました。そのお姿は 今も変わりません。
贅沢を良い事とし、限りの無い贅沢を売り物にして来た時代も、そろそろ頭を冷やすべ頃合に来たのではないでしょうか。
お金を使う時には 「本当に、必要なのだろうか ? 」と疑問を持つ事の大切さを感じます。
我々人間は お金というものが「あっても・なくても」必要以上に縛られては
生きる上で、幸福感が遠のいてしまいます。
「あっても・なくても」必要なところに・必要なだけ大切に使うという、お金の正しい・適切な使い方を 今一度、再確認してみようではありませんか。
今日は イタリア生活には 欠かすこのできない「ワイン」について、お話させて頂きたいと思います。
と言いましても、私はソムリエでもなければ、ましてはワイナーでもありませんが、こよなくワインを愛し、二十数年間、一日たりともワインを欠かしたことがないというイタリアの一庶民として、お話をさせて頂ければ幸いです。
ワインという物は 単なるアルコール類の嗜好飲料ではありません。
ワインは高価な物からハウスワインの域に至るまで、ランクはあっても、
ワインとしての価値には変わりはありません。
私個人としましては 「高価だから美味しい・価値がある。」という感覚には
少々疑問を感じるところです。
イタリアのワインに関して言えば、一本につき5ユーロ位がハウスワインの域。
10ユーロも出すと、興奮するほど満足のいくワインを手にすることもできます。
20ユーロを出しても、「あの時の12ユーロの方が、倍も美味しかった・・」
という事も多々あります。
100ユーロも出すと、さすがに、名物の年代物になり、
「なるほどーーーーーお ! うーーーーーん・・・・」と全員言葉を失う。
そして、グラスを右に左にと回しつつ、下の上にワインをコロコロと
転がし喉仏を鳴らすことになることは確かです。
が、このクラスのワインは 我々庶民に取りましては特別なランク。
特別な贈り物として、よそ様から頂く物で、自分では購入するレベルでは
ありません。
一本につき、10ユーロ前後の予算で、赤か白か・好みのブドウの銘柄・
産地・何年物かを基に。その時々の必要性に応じて、楽しみながら購入するというのが一般でしょう。
勿論、スーパーマーケットで購入するよりも、街角に在る小さな専門店で、
自分の好みを伝え、その上で店主からアドバイスを聞きながら選ぶ方が、満足のいくワインを確かに手に入れることができます。
ワインは食事中でも、食事の前でも・後でも。(何時も)
大切に・ゆっくりと・ゆっくりと、一つ一つのグラスに、軽く六分目位に
注がれます。(グラスが大きければ、もっと少なめに・・)
決して、ビールを注ぐような感覚で「ドドドドドオーーーーーっ! 」と
「グラスになみなみ」にという下品な注ぎ方は間違ってもなさらないで
頂きたいものです。
ワインは グラスに注がれ、そこで初めて空気と触れ合うのです。
グラスを軽く右に左にと回して、空気とワインを抱き合わせてみる・・・・・・・・・
そこから、そのワインの持っている可能性が最大に広がり、
私たちを楽しませてくれるのです。
香りがわき立ち、更に「ボン・ビーノ・ロッソ」(美味しい赤ワイン)などは
究極の魅力を発揮してくれるのです。
私はボン・ビーノ・ロッソは食事中というよりも、
アペルティーボ(食事の前の飲み物)として、生ハムの数切れ、または
チーズのゴルゴンゾーラかアジアゴをお供に。
チーズも生ハムも無ければ、胡桃やひまわりの種で結構。
ほんのひと時、日ごろの苦悩を忘れて、心から酔いしれる・・・・・
イタリア人の夫も毎日、昼食・夕食時には赤ワインを欠かしませんが
グラスに六分目で終わりです。
そうそう、イタリア人は酔うまで飲むという、飲み方はしません。
勿論例外はありますが、普通は四・五人で一本のワインが足りてしまう
のです。
食事中に 次のお料理へ移る前に、口を洗い流すというのが目的ですから。
そして、あくまでも「嗜む」という度合いです。
ですから、テーブルを囲みながら、ワインで、議論が弾むのです。
ワインを飲んで喧嘩は ありえません。
ワインで「仲良くしましょう。」という
ワインが生まれて持った特質を発揮してくれるのです。
自宅に招かれたり・招いたり。
そして、テーブルを囲み、ワインと共に親交が深まっていきます。
これが 「イタリアのワイン文化」言えるでしょう。
さてと、今夜は 蒸し暑いので、カベルネエのサラッとした赤を
少々頂くとしよう。
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数ヶ月前のことになる。
何かと仕事でお世話になっている知人が、私が住むパラッツオ(建物)の横道で、男の二人組みに背後から襲われるという強盗事件に遭った。
怪我は無く幸いであったが、腕に付けていた最高級ブランドの時計を奪われた。
彼は 被害届けを出すべくパトカーに便乗した。
しかし、彼は被害届けを取り下げて帰って来たと言う・・・・・
話を聞いてみると、この社の時計は 中古市場でも高値で売れるため、
泥棒たちのターゲットにされているということ。
泥棒たちは 日頃から、この種の時計の持ち主たちをチェックしているらしい。
警察側でも、ほぼ犯人たちを確定してる。
しかし、被害を受けた側が「彼らに間違いありません。」と証言をしてくれないことには 逮捕ができないという。
この知人は 警察で、諸に写真を見せられ、
「この男たちだったんじゃないですか?」と訊ねられたそう。
正に、二人のうちの一人は そうだったという。
更に驚いたことには 記憶が鮮明によみがえり、以前出会ったことのあるナポリの知人だったということ。
泥棒は この知人の素性を良く知っている。
自分が届けを出せば、二人組みは 直に逮捕されるが、
自分への「脅し」が始まる。
「脅し」・・・それは 大切な一人娘に向けられるかもしれないし、
仕事を奪われるかもしれない・・・
「脅し」は 私などが想像もつかないものらしい。
結局、考え抜いた知人は、被害届けを取り下げて、
何事も無かったように事を治めたと言う。
彼が最高級品ブランドを身に付けていたという落ち度は 言うまでもないこの国の常識。奪われては困る物は簡単に身に付けるべきではないのです。
そして、「生き延びるための悪との共存」とは こういう事と言えるでしょう。
「太陽の国、イタリア」・・・
しかし、その裏には 日陰の下を歩かなければならないような現実も多々あるのです。
今や 欧米諸国では 高級ブランドや流行にあおられる消費が減速しています。(中国などの新興大国を除いて)
高級ブランド品に憧れを抱く時代は 既に終わったのではないでしょうか。
新しい物を次から次へと購入するといった消費の形態も変わりつつあるでしょう。
これからは 我々人間の関心が、物やお金ではなく、
「精神へ。文化へと。」方向転換していかなければならない時代に来ていると
思えてなりません。
どんなに物質的に豊かでも、精神の豊かさとは全く別のことですよね。
先日、新法王さまが「バチカンは 日陰の下を歩くようなことをしてはいけない。お日様の下を堂々と歩かなくてはいけない。」と、ご自分の置かれた立場を通して仰られたお言葉ですが、これは 我々一般人にも同じ事が言えるでしょう。
今は 世界中の人々のモラルが低下しています。
人々は 正しいことも、正しくないことも、見分けがつかなくなっている傾向にあるのではないでしょうか。
そんな中、正しいことは正しい。正しくないことは正しくないと明確にお言葉にされる新法王さまは 素晴らしいですね。
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