八月十一日、久世栄三郎氏が「ローマの休日」のいちシーンであるスペイン階段で、オードリー・ヘップバーンがアイスクリームを食べている背景に見える時計の刻んでいる時刻は 監督が何度も撮り直した結果なのか ? それとも監督の意図的なものだったのか。今だ謎となっていらっしゃるとのことを書かれておられました。
そこで、早速、そのシーンを私も見てみました。
私のPCの画面が小さいため、良く見えないのですが時刻は
「約午前十一時二十五分・・」もしくは 「約午後五時五分前・・・」
時を刻んでいる針「時間針」と「分針」の長さの差が確りと確認できませんでした・・・・・
午前十一時過ぎでしたら、時間はストーリーに沿っていると思いますが。
午後五時でしたら、?? それでもストーリーとして「いけないこともない」!
というのが私個人のイタリア的感覚です。
夏の午後五時は まだお日様がカンカンに照っています。
夕食時間が九時から十時位の時間帯になりますので、その前に街角でジェラートを食べても、ごく普通のことです。
時間を忘れ、時間から解放されるということは最高の自由を獲得したも同然のことです。ローマはそれができる街です。
「ローマの休日」の監督も、そこに大きく意図を置いて制作したはずです。
しかし、ローマの街中にある沢山の教会や目に入ってくる公共の時計は
決して、時間が正しいとは言えません。
故障して、既に修復不可能。二十年前も同じ時刻を刻んでいたなんて事は当たり前なんです。
ですから、トリニテ ディ モンテ教会の時計が故障していたという事も考えられないこともありません。
うーーーむ。 (深く考え込む・・・・・)
結論としまして、久世栄三郎氏の仰る通り。これは「ローマの休日」の謎として、これからも受け継がれていくことになるでしょう。
約束の時間に三十分や一時間遅れて、相手が姿を現すことは イタリアでは当たり前。イライラしないと言っては嘘になります。
それでも、素晴らしい出会いであったり、楽しく一緒に時を過ごせたなら、
「まあ、総てを良しとしよう。」と思えてしまう。
「イタリアン・タイム」は時間に追われるのではなく、時間を如何に充実して使うかということになる。言い換えると、如何に人生を味わい・楽しむかということに繋がります。
数年前に、日本の友人が一人でイタリア旅行にやって来た時の事。
「トミイさん ! フィレンツェに到着するはずの列車が二時間も遅れて大変だったのよ ! でもね。イタリア人って、怒らないのね。私一人がプンプン怒っていたわよ。」
「そんな事で、怒るのは日本人だけよ。日本は 総てが定時刻のお国柄。それが当然だけれど、ここはイタリアよお。幾ら怒っても列車はスピードをあげて来れないし・・・」
「そういう事になるわねえ。」と友人しみじみと納得。
二十五・六年前、ボルゲーゼ公園で、一人の老紳士がベンチに座り新聞を読んでいました。私もその近くのベンチに腰を下ろし、旅の疲れを癒していました。
この紳士は 周りのことなどを気にする様子も全くみられず、一時間たっぷりと新聞を読み続けました。そして、満足気に、ゆっくりと深呼吸をして立ち上がりました。
私は ずっとこの紳士を注意視していました。
「素晴らしい ! 」「これがイタリアン・タイム ! 」と感激しました。
私も、この国で、あの老紳士のように暮らせるようになりたい。・・・そう思ったのが渡伊を決心する始まりでした。
今では 念願が叶い、この国で、自分の「腹時計」で生活をしています。
近所の教会の鐘が鳴ると、だいたいの時間帯も、この身体が覚えました。
イタリアの生活は「時間の外」です。
世界に唯一つ。
これは イタリアのマジックでしょう。
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