今年も無事、「日本へお里帰り」をすることができて、一安心しているところである。
三週間と少々の間、八十を過ぎる両親と一緒に架けがえのない時を過ごすことができた。
母は 去年から、体調を崩してはいるが、それでも去年と比べると、大分快復していることが、目に見えて分かった。何よりも、母自身が快復しようと努力している姿に感銘を覚えた。
しかし、問題は 投薬の影響が大きいこともあろうが、母の体力が今までより、落ちてしまったことである。それが、時として、母を不安と狼狽に陥れる。
日常生活が、今までのように、すべてが自分の思う通りに快活にはいかなくなったという現実が待っていた。
でも、これは人間の摂理上、自然の成りゆきだと、本人も周りの者も現実を受けとめるしか道はない。そして、その現実に歩調を合わせて、日々の生活を送るしか方法はない。
父の方は 私が一度たりとも 愚痴というものを聞いたことがないという昭和一桁の厳格な性格の持ち主である。
この厳格な父が、兎に角、時間を急く。
時間が必要になった母を更にパニック状態にと陥れる。
しかし、母も まだ負けてはいないのが、せめてもの救いである。
両親は 今までの人生を歩んで来た、そのままの勢いで、時間を押し通そうとしていた。時として、その姿には 迫力すらを感じる程であった。
私は 一体、何時まで、この勢いで、この生活を続けられるのだろうかと、不安を感じていた。
そんな矢先に、日本へ電話を入れると、父が脊髄ヘルニアで、目下、治療中という。
今、不自由な生活をしている父には申し訳がないと思いながらも、これを機会に、美味しいイタリアのワインを舌の上で嗜む時のように、後・数秒、後・数分・・・と、少し時間というものを味わっては頂けないものであろうかと切願する。
映画のスローモードを見るように、ゆったりと気分を落ち着けて生活をするということを何時も心の隅に留めて置いて頂けたらと思う。
そうすれば父と母のような関係も、少しは 滑らかに、円滑になってくれるであろうことは間違いないに、違いない。
「永遠の都ローマ」に住む私は 世界中からの観光客や地元に住む他国籍の人々を 毎日、当然のごとく目にする。
ここで、人種という取り上げ方はしたくはないが、大きく、欧米系とアジア系に分けて、お話させて頂きたい。
我われアジア系は 兎に角、姿勢と歩き方に、落ち着きがない。一方の欧米系はというと、誰もが自信たっぷりに堂々と胸を張り、歩き方も、ゆったりと落ち着いている。
良いお手本には 素直に見習う価値があると思うのは 私だけではあるまい。
「ゆったり。」ということは 時間をよく味わってということである。
「味わう」ということは「楽しむ。」ということに繋がる。
「ゆったりと、ささやかな人生の時を豊かにしようではありませんか。」
私自身も、日本へお里帰りをする前までは 時間に追われる生活をしていた。
しかし、今、こうして「ゆったり。」を心がけて生活をしてみると、今まで、見えていなかった物までもが、不思議と鮮明に見えてくるではありませんか。
と、同時に、今、自分がここに存在しているということに、感謝の思いでいっぱいになる。それは 自分という人間をこの世に送り出してくれた両親へであり、異国文化の私を受け入れてくれる夫へであり、私を支えてくれている・すべての人々への感謝の思いである。
今年も貴重な「日本へのお里帰り」でした。
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