「成功に近道はなく努力あるのみ」と言うと、誰もその続きの話に興味を失くすだろう。予想がつくこと、既知のことに人は刺激を受けない。逆に「努力すると成功しない」と言ったらその続きを聞きたくなるものだ。
但し、この手の言い回しを使い過ぎると免疫ができてしまい「またか」ということで興味を失う。奇抜なタイトルをつけないと本が売れなくなったため、やたら逆説的なタイトルの本が多いが、そんな本で溢れかえってしまうと逆に本が売れないという結果になる。
人間心理とは複雑なものだ。
ある人が不思議なことを言った。会社社長で裸一貫から実力でのし上がった人物である。その人に「成功する条件は何ですか?」と尋ねた。社長は「運だ」と答えた。しかし、運だと言われても「あ、そうですか」とは思えなかった。
他にも当然大切な条件があるはずだ、それが聞きたいと思ってさらに「運もあるでしょうが、社長は才能もあり努力もされた。だから今現在があると思う。運以外にあるとすればそれは何ですか?」
これに対して彼の答えは「成功の条件は運だけ。運が100%だ」という。逆説的にもほどがある解答でいつまでも脳裏から離れないが、その時は真意がわからなかった。
19世紀のイギリスの学者フランシス・ゴルトンは数十年の歳月を費やして、高名な判事、政治家、詩人、音楽家、格闘家の生涯に関する情報を集めた。彼はいとこのチャールズ・ダーウィンの進化論を擁護するために、天才の遺伝的根源を明らかにしようとしたのだ。
しかし、やがてゴルトンは、遺伝的な才能だけでは大きな功績を成し遂げることはできないとの結論に至った。成功を収めたこれらの人物は「熱意と、多大な努力を行う能力」にも恵まれていることがわかったのだ。
ゴルトンは成功に欠かせない人間の資質は、多大な努力をそれほど苦労と思わずにできる人と、そうでない人との違いが分かれ目であると考えた。
多大な努力を続けるには基礎体力が必要となる。ここで「運」が左右することになる。成功者の条件を持った人たちがいっせいにゴール(成功)を目指して突き進む時、誰もが1日は24時間、1年は365日を与えられている。努力の差はたかが知れている。
決め手はどれだけ長い時間「熱意と、多大な努力」を続けられるかということになる。ところが人それぞれに持ち時間の差がある。天命のようなものだ。持ち時間の長さは成功の確率と比例する。
少し強引かもしれないが、そうでもしないとあの社長の言った「運100%」の意味を理論化できない。しかし「成功の条件は運だけ」と考えるのも悪くないと思った。考え方次第では得られるものがある。
今一生懸命に努力しているが思うようにいかないで悩んでいる人も、頑張ってるが何をやっても実が結ばない人も、それはあなたのせいではなく「運」がないだけ。くよくよする必要も自己嫌悪する必要もないだろう。
焦らずにその時が来るのを待とう。果報(運)は寝て待てと言うじゃないか。
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