なぜ人はわざわざ悲しい音楽を好んで聴くのか?感情研究の分野で長年疑問とされていたこの理由を理化学研究所が解明したと発表した。
実験によると「悲しい音楽を聴くとロマンチックな気分になる」ことが分かった。実験では、短調で構成された30秒程度の“悲しい曲”を男女44人に聴かせ、
・多くの人はこの音楽を聞いてどう感じると思うか。
・あなたはこの音楽を聴いてどう感じたか。
をそれぞれ62項目、5段階で評価させた。
その結果、回答者たちは「一般的に悲しい」と思うほどには自分では悲しみを感じておらず、むしろ(うっとりする、愛おしいなど)ロマンチックさを感じていることが分かった。
理研は「今回の結果から、芸術には快と不快の両価的な感情を引き起こす作用があることが分かった。この結果は感情の仕組みを考えるための新たな観点を提供する」と評価している。
個人差はあるだろうが、これは人に共通する感情と言えるのではないか。私も悲しいメロディや作詞の音楽を好む傾向がある。自分がネクラなのかと思っていたがそうではなく、普通の感情であることがわかり安心した。
因みにロマンチックとは「現実を離れ、情緒的で甘美な様」という説明が辞書にあった。恋はまさにそのものだ。白昼夢もその定義の中に含まれそうだ。さらに余談。「浪漫」という言葉があるが、これはRomantic、Romanceの漢訳表現である。
ローマ帝国時代の言語は、文語としての「古典ラテン語」と口語としての「俗ラテン語」が存在した。ローマ帝国の衰退期にはこれらの差は徐々に広がっていった。
やがて、基は一つの言語とは呼べないほどにまでその違いは大きくなり、古典ラテン語は、口語の俗ラテン語を使う庶民には理解できないほどにまでなっていった。
その時代の口語を「ロマンス語」と呼んだ。やがてロマンス語で書かれた文学作品は「ロマンス」と呼ばれるようになった。これがロマン主義(ロマンティシズム)の語源となる。
18世紀末から19世紀前半にヨーロッパで、それまでの理性偏重、合理主義などに対し、感受性や主観に重きをおいた、古典主義と対をなす動きが表れた。それらは文芸・美術・音楽・演劇など様々な芸術分野に及んでいった。
そこから、芸術=ロマン主義のような概念が形成され、それらを形容する“ロマン主義的な”という意味の「ロマンチック」という言葉が生まれた。
現代で使われる「ロマンチック」はもっと人の心に入りこんだものになっている。私個人の見解だが、 悲しさや恋しさで胸がしめつけられるような「せつない」という気持ちもロマンチックな気がする。
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