電子メールのメッセージの意味合いを正しく捉えている可能性は50%しかないそうである。シカゴ大学とニューヨーク大学が共同で「メールの意図が正しく伝わる確率」を研究したことがある。
この研究では、学生のペアを30組作り、大学構内の食べ物や天気などのテーマに関する20の意見が書かれたリストを渡して、各ペアの一方が、これらの意見が本気か皮肉かを推測して、選んだ意見を相手にメールで送信した。
その結果、メッセージの送信者は、受信者が意味合いを正しく解釈する自信(確率)は80%と予測したのだが、実際には、受信者が送信者の意図通りに受け止められたのは50%程度だった。
書き手がメッセージに込めた意味合いや感情を「明確だ」と往々にして思うのは、書きながら自分が意図する意味合いを頭の中で『聞いて』いるからだ、と研究者は説明している。
同時に、メッセージを読む方は、そのときの気分や型通りの考え方、思い込みに基づいて無意識のうちに内容を解釈しているとのこと。メッセージが他人の観点からどのように解釈されるかを想像するのは、人はあまり得意ではない、ということだ。
これは筆者もメールのやりとりでよく経験する。「このように書けば、相手はその通り理解するはずだし、するべきだ」と思い込んでいることが多い。電子メールは非常に誤解されやすいもので、感情的な論争の引き金になるだけでなく、多くの訴訟の原因にもなっているといわれる所以である。
その点、古来からの連絡手段としての”手紙”、”葉書”は、対照的に相手に意図を理解させることに腐心した書き方が基本となっている。それぞれの特性はあったとしても、人と人とのコミュニケーヨンの媒体である以上は、メールにも”手紙”のようなルールやマナーが必要だろう。
古いとか新しいとかではなく、身の回りにある優れた知恵(お手本)を発掘し、再認識して活用すべきである。
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