世間はお盆休みに入ったか-入る直前か、そんな空気におおわれている。
お盆の時期はイコール夏休みの時期だ。
連日の猛暑に耐え、酷使してきた身体と心を休めるささやかなオアシスタイム。
それは行事というよりも休みの口実のようなものとしてあるだけ。日本人の宗教観の薄っぺらさは良し悪しの両方がある。
お盆は「死」について考える絶好の機会であるが、遊ぶことに気が取られている人が圧倒的多数であろう。
だがこんな機会だから別の角度で「死」について考えてみよう。
人の死は近い世界のこと。一方、マクロで見ると、われわれを呑み込んだ遥か遥か大きな宇宙が「死」を向かえている、というショッキングな発表があった。
世界の科学者100人以上で構成する研究チームが「宇宙は徐々に死にゆく過程にある」という論文をまとめ、欧州南天天文台のウェブサイトに発表した。
研究チームはオーストラリアや米国、チリなど世界7か所にある天体望遠鏡と、地球の軌道上にある宇宙望遠鏡のデータを解析し、20万以上の銀河から届く電磁放射などのエネルギーを調べた。
その結果、宇宙から放射されるエネルギーの量は20億年前に比べて半分にとどまることが分かった。紫外線から遠赤外線に至るまで、すべての波長が弱まっていたのだ。
宇宙は誕生から138億年が経過し、晩年に差しかかっているという。
「宇宙はいわばソファに座って毛布をかぶり、永遠の眠りに向けたまどろみに入ろうとするような状態」にあるらしい。
但し、宇宙は死んでも存在しなくなるわけではない。光や炎を放つ恒星や天体が徐々に消滅する。やがて冷たく暗い荒れ果てた場所になって、すべての光が消えるというのだ。
それは何兆年も先のことだが。
その時には、今生きている私たちの骨の原形も存在しないだろう。消滅はしないで化学物質の一部として残っているかも知れないが...。
未来永劫という言葉は虚言というべきか。何事にも終わりがあるという事の究極の証明である。
何兆年も先のことを心配して生きていくことはないが、先が暗いことだけは疑いない。
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