「007は二度死ぬ」というスパイ映画があったが、二度死ぬのはスパイだけでなく、「人間も二度死ぬ」という考え方がある。
一度目の死は、一般で言う「死」。生命体としての「死」、物理的な「死」を指す。
二度目の死は、一度目の死でこの世を旅立った人の事を誰も口に(話題に)しなくなった時という。
この考え方では、釈迦、キリスト、聖徳太子、平清盛...など歴史上の人物として名を残している人は二度目の死は迎えていない。つまり「偉人」と呼ばれている人などは一度しか死んでいないことになる。
一方、大多数のわれわれ庶民はどうか。死んだ後、時が流れ世代が変わることで、この世に存在していた事すら遥か遠くに霞んで消えていく運命にある。宗教観の希薄さが増せば増すほどバニシング・ポイント(消失点)は短くなる。そう考えると、寂しい気持ちになる。
またさらに一方で、ナチスドイツのヒトラーのような人間も、二度目の死を迎えることはない。偉人であろうが、極悪人であろうが、歴史上に名を残せば二度死なないというなら、「名を残したものが勝ち?」ということになる。
今の世の中を形作ったのは「偉人」たちの力だけではない、すでに二度目の死を迎えた歴史に名を残さない99.999%の人たちの一人一人の力の結集で出来たものに他ならない。
ならば、「二度死ぬ」ことは不名誉なことでもなんでもないのではないか。
世に生を受けたからには、世の中に貢献して名を残しいつまでも語り継がれる人になりたいし、それを目指して頑張るのは間違っていないと思う。それに邁進する人は尊敬に値する。
しかし、「二度目の死」を迎えたくないことが目的にすり替わる危険が常にある。少し有名になったり、裕福になったりすると名声、名誉という欲望が、見た目にはきれいな姿形をして人の心の奥底に侵入してくる。そんなエイリアンの侵入を許した(二度死にたくない)政治家が今の世の中には多すぎるように思う。
しかし、庶民はけっして二度死ぬことを恐れる必要はない。なすべきことをやって一生懸命に生きていれば、何回死ぬかは自分が決めなくてもいいのではないか。
007は二度死なず。二度死ぬことを恐れたら負け?かも知れない。
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