米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」によると、運動や楽器演奏で同時に両腕を動かすことを学習する場合、片腕ずつ練習してもさほど上達が見込めないことを、東京大学とカナダ・クイーンズ大学の共同チームが実験で見つけたそうだ。
東京大学大学院教育学研究科の野崎助教授は、左腕に一定の力を加えて動かしづらくしたうえで、動く標的に左腕、あるいは両腕を伸ばして触る実験を繰り返し、効果的な学習の手法を調べた。
その結果、左腕だけを使い標的を触れるようになった後、右腕も同時に動かすと、左腕の成績は7割まで落ちた。
順番を逆にして、両腕を動かしながら左腕で標的に触れるようになった後、左腕だけを使うと、同様に7割の能力しか発揮できなかった。(この傾向は利き腕に関係なく見られた)
研究チームは、片腕だけを動かして覚える時と、両腕を動かしながら覚える時の脳の働き方が違うと推定し、片腕ずつ技術を身に着けていく練習では100%の力を発揮できない可能性がある、と分析している。
助教授は「両腕をバランスよく使うことが重要。片腕ずつ練習するにしても、もう片方の腕を動かしているイメージを常に持ち続けると効果的だろう」と話している。
この両腕理論は、麻痺(まひ)した腕のリハビリを効果的に進めるヒントになるかも知れないと期待されている。
ところで、紙にペンで文字を書くのは片手ですね。(多くは右手ですが)
前述の両腕理論からすると、右手と左手にペンを持って同時に文字を書いたら、「字がうまくなる」という理屈になるので試してみた。
結果、確かに字がうまく書けるような気がした。というのも、両方を同時に動かす場合、脳の中でペンの向かう方向や距離を「右手」「左手」で時分割しながら緻密にコントロールしているようなのである。
PCが普及した現代は、紙とペンに代わってモニタとキーボードで文字を記すことが多くなりっている。この時も両手でキーボードを打てれば、片手よりスピードが速いことは当然だが、それ以外にも脳が両手のコントロールのために活発に動くことで頭の体操になるはずだ。
ボケ防止には、ブラインドタッチ(キーボードを見ないで両手でキーを打つ)の練習が手軽でいいように思った。
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